カルチャー
来日していたジャン・ジュリアンに会ってきた。
渋谷PARCOにて、展示「PAPER PEOPLE」が10月3日まで開催中。
2021年9月21日
photo: Kenta Sawada
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フランス人のアーティスト、ジャン・ジュリアンが東京にやってきた。10月3日まで渋谷の「パルコ・ミュージアム・トーキョー」で開催中の自身の展示「PAPER PEOPLE」のために。彼は『ポパイ』のことをすごく気に入ってくれていて、「いつか『ポパイ』で連載したいなあ」なんて光栄なことも言ってくれている。彼には半年ほど前の料理特集「ENJOY COOKING」にて特集のイントロダクションとなるページに作品を描いてもらった経緯もある(しかもノーギャラだった)。来日したと聞けば、ちゃんとお礼を言っておかなければと、滞在している渋谷のアトリエにお邪魔したのであった。ジャン、先日は素敵なドローイングをありがとう。

「『ポパイ』のことは昔からとても好きなんだ。パリの『コレット』でよく立ち読みをしていたよ。40周年記念の特集では創刊号がオマケで付いていたよね? あれは特に好きな特集なんだ。『ポパイ』はレイアウトにいつも意外性があって、かっちりとしていないところが好き。マンガのように吹き出しがあったり、手書きの文字や線が多く使われていたりエキサイティング。だから、『ポパイ』に自分の絵が載ったらいいなあと思うようになったんだ。料理の特集は、若い男の子が自分で料理するっていうテーマだったよね? だから学生の頃の自分の経験を思い出しながら描いてみた。マカロニを茹でたら、自分が思っていたよりも大量に出来上がってしまったという苦い思い出をね。僕の母親はいつもおいしい料理を作ってくれていたから自分でもできると思っていたんだけど、当時は全然うまくいかなかったね(笑)」
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ジャン・ジュリアンのアートはそういった日常のなんでもない経験が創作の源になっている。彼は小さなノートをいつも持ち歩き、日記のように毎日その日起こったことや感じたことを書き留めている。下の写真の通り。
「故郷ブルターニュのこと、愛する息子のことなど、毎日何かを描いているんだ。この本でもう99冊目になるよ。作品を作るにあたって、日記を書くことは良い実験にもなるんだ。見てよ、最初のページにはちゃんと自宅の住所も書いてあるから、もしこれを失くしても誰かが送ってくれるはずだよね?(笑)」

インスタグラムで頻繁にポストされる彼のドローイングもどれも生活に寄り添っていて、穏やかな気持ちになれるものばかりだ。同じフランスだとレイモン・サヴィニャックを思わせるところもあるし、日本だと長場雄さんを想起させるとこともある(と思ったら、ジャンと長場さんはとても仲が良いお友達だそうだ。納得)。
今回の展示「PAPER PEOPLE」ではインスタグラムでおなじみのドローイングがなんと立体として展示されている。そのドローイングを囲うように壁に掛けられているのは、数年前から本格的に取り組み始めたというペインティング作品の数々だ。ジャンの作風は大きく分けてこの2つのタイプになるのだけれど、彼はこの2つの作風に対してとても意識的なのが面白い。(ドローイングとはいわゆる線画で構成された作品のこと。ペインティングはいわゆる絵の具で描かれた絵のこと。念のため。)。
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「いつもドローイングとペインティングの関係性について考えているんだ。僕はどっちもとても愛している。ドローイングなくしてはペインティングは生まれないよ」
そんなジャンの思いから、あるストーリーが生まれた。「僕はどちらかひとつだけなんて選べないから、ドローイングとペインティングを同時にうまく展示できないか考えたんだ。もし僕がペインティングに集中して、ドローイングのことをないがしろにしていたらどうなるだろうか? きっとドローイングで描かれたキャラクターが絵の中から飛び出してきて、僕の描いたペインティングを眺める。そして、ペインティングの中に「自分がいないじゃないか!」と悲しみに暮れるはずなんだ。だからその”ドローイング君”はもう1体のドローイング君を描く。自分の友達を作って、ハッピーエンドを迎えるんだ。
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置いてきぼりにされてしまったドローイングがかわいそう、だなんてジャンの優しい人柄が反映されたスイートなストーリーだ。同様に、彼のペインティングの作品の中にも優しいストーリーが隠されているのだとか。
「故郷ブルターニュの海、パリのチュリュイリー公園に行った時のこと、弟のニコと一緒に1週間ハイキングに出かけたこと、南フランスに出かけた時の思い出、テレビで見たカエルのパペットのこと、パリの動物園で見たバクが、象と牛のミックスみたいでちょっぴり変だったこと。僕の絵にはそうした日常のストーリーが必要だし、ストーリーがないとビジュアルとして機能しないんだ」
ジャンの作品から感じられる優しさの源はその背後にあるストーリーだった。日記のように記録された毎日の他愛のないけど、とてもかけがえのないものが彼の作品には込められていた。見る者にとって、その優しいストーリーの詳細までは分からないのだけれど、ジャンの優しさや親しみやすさがその絵からジワっとにじみ出ているような気がする。
最後に質問。彼はなんだかファッションも洒落ていたので、どんな服が好きなのかも聞いてみた。
「〈nanamica〉とか〈visvim〉とかが好きなんだ。あとは古着。Tシャツのプリントが割れていく様っていいと思わない? 旅に行った時に買うTシャツも好きだね。以前、父親とルート66を何日かかけてドライブ旅行をしたとき、途中のハンバーガーショップでお揃いのTシャツを買ったんだ。思い出が備わった洋服ってとても大切だよね」
洋服にもストーリーを。最後までジャンらしい話だった。
そうそう、ストーリーのあるものを愛するジャンは、ついに漫画も描いてしまった。こちらは同じ渋谷パルコの2階にあるギャラリーショップ『2G』内の『NANZUKA 2G』で展示中。こちらもお見逃しなく。もちろんとびきり優しいストーリーだ。
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インフォメーション
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PAPER PEOPLE
渋谷「PARCO」4F「パルコ・ミュージアム・トーキョー」にて10月3日(日)まで開催中。
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