ファッション
デザイナーはなぜそれを作ったのか?/サンリミット 門田雄介
2021年6月30日
photo: Kazuharu Igarashi
edit: Tamio Ogasawara
text: Neo Iida
2019年10月 870号初出
デザインの“なぜ”がわかると、じわりと気になり、だんだんと焦がれるように、頭から離れなくなる。
服を選ぶのは自分だけど、まずは一度デザイナーたちの言葉に耳を傾けてみようじゃないか。

もんでん・ゆうすけ|1972年、広島県生まれ。デザイナー。ブランドのパターンや生産部門を経て、2012年に〈Sans limite〉を立ち上げる。上野店の他に、 2019年3月に北参道にもお店をオープン。
パンツもしっかりこだわっています。
「チノって、男がはくズボンって感じがするんです。うちでは“チノパン”というより、“ベージュのパンツ”という意識で、8年くらい生地を替えずにやっています。生地にこだわるブランドも多い中、わりと普通のチノクロス。“チノ”と聞けば、パッとあの色と質感が頭に浮かぶし、だったらパターンを増やしたほうが面白いと思ったんです。それに、少しでも自分のスタイルをよく見せたいじゃないですか(笑)。そのためにはいろんな形を試したほうがいい。最初に作ったのはディテールもシルエットも好きな要素を詰め込んだ理想の一本で、その後はゴムのイージーパンツやショートパンツ、柔道パンツ風のものからスラックスまで、いろんな形を作りました。サイズは-1から2までと幅広いですが、ウエストで合わせる必要はありません。パンツってサイズや腰のどの位置ではくかで印象が変わるので好きなサイズではいてください。自分のはき方が見えてくると、チノ選びも楽しくなりますよ」
Style 4
すべてはこのパンツから始まった。

門田さんの理想を詰め込んで、最初に作ったチノパンがこれ。少しテーパードを効かせたストレートで、細過ぎず太過ぎないまさに定番の一本。ポケットの縁のしつらえは手縫いで仕上げた証しの「手もみ玉縁」。ウエストはしぼらずデカいので、腰周りがストンとしている。¥33,000
Style 7
最初に買うならこのテーパードかな。

ウエスト部分がゴムになっているパンツは楽ちんで、これははくとタックが入ったようなシルエットになる。サイドの外に出した縫い目が少し立ち上がっているのも面白い。Style7とは7つめのパターンのパンツってこと。¥30,800(サンリミット 上野店☎03・5826・4791)
Style 11
ウエストではなく、腰ではこう。

大きな腰周りのシルエットが男らしいチノショーツ。ウエストは大きめに作られているのでサイズなんて気にせずに、自分好みの太さとシルエットで選ぶといい。肌寒くなったら大きめのパーカと合わせようと思っている。夏は終わったけどショーツ好きに。¥24,200
Style 14
スラックススタイルをチノで。

1960年代のクラシックなスラックスをベースにした新作。仕立てもスラックスそのもので、サイドはノーステッチ、センタークリース、裾は3㎝幅のダブル仕様。共地のジャケットもありスーツとして合わせることができてしまう。あー、どうしよう、これも欲しい。¥33,000
Style 18
裏返してこそ作りの美しさがわかる。


門田さんが「アメリカのおっちゃんのチノパン」と称する、股上深めの一本。はくとわかるが、太めのストレートシルエットが超完璧。ハンターパンツによく見られる補強のための膝当て、尻当てが裏に縫い付けられており、大胆な縫い目が特徴的。裏返してもキレイだ。¥33,000
Style 22
この太さは新鮮じゃないか。

柔道着をモチーフにしたような、ダボッとした一本。ウエストは、腰紐でぐるっと巻いて留める仕様。股にはマチが付いており、脚の可動域も広め。こう見るといかにも道着だが、実際にはいてみると少しモードな薫りもするのが〈サンリミット〉らしいところ。¥30,800
Style 4
実に軽やかなショーツだ。

こちらのショーツはミリタリーのユーティリティパンツがなんとなくのモチーフで、アウトポケットがいいアクセントになっている。サイドアジャスターボタンは飾りじゃなくてちゃんと使ってしまう。同じ生地なのに軽く感じるのは気のせいか。ぜひ休日に。¥26,400
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