フード

平野紗季子 著『味な店 完全版』は、新しいかたちの飲食店案内です。

2021年6月24日

「味があるね〜〜」
みなさん、一度は使ったことのある言葉だと思いますが、
味な飲食店、味なレストランというと、どういったものを思い浮かべますか?

 レトロな内装の喫茶店や、年配の方が営まれている伝統的な老舗をイメージされる方が多いのではないでしょうか。もちろんそういったお店も「味な店」ではあるのですが、その定義はもっと広く自由で、深〜〜いのであります!

 平野紗季子さんが本誌にて連載していた「味な店」は、そういった飲食店たちを構成する”味”な要素をテーマとして毎月掲げ、魅力的な飲食店を紹介する連載です。

「実家皿の店」という回では実家でよく見かける不思議なお皿を堂々と使っているお店を、「塩対応ですがなにか?」では、ちょっと店主が無愛想だけど、なぜか惹かれてしまう店を紹介したりしています。

 ともすれば、マイナスな印象にもなりかねない要素すら魅力になる。だからこそ心に残る。平野隊長と編集部の「チーム 味な店」は、料理のおいしさだけではない飲食店の魅力に日々出会い、感動し、それを誌面に残してきました。

味な店 誌面
味な店 誌面

 この「味な店 完全版」は2018年にスタートした、味な店プロジェクトの集大成です。収録されたテーマは実に50に上ります。上に挙げた「実家皿の店」、「塩対応ですがなにか?」のほかにも「兄弟よ」(兄弟で営まれているお店)、「ほぼ家の店」(まるで居間みたいなお店たまにあるよね!)、「1ヶ月休むvs24時間年中無休」(なが〜く休む店と全く休まない店の話)などなど、誰にも真似できない愛すべき店が100以上掲載されています。総ページ数も254ページ! ちょっとした辞書並の厚さになってしまいました。ズシンときます。

 また、数々の味な飲食店をさらに魅力的に演出するのは、平野さんが自ら足を運び取材をし、紡ぎ出した文章です。まさに味のある文章!

 こちらは「味なお弁当」の回の文章の冒頭より。

 お弁当は冷めているところが好きだ。
 普通、外で食べるときは熱々で召し上がりくださいとか、冷たいうちに食べてくださいとか、食べる時間軸が食べ物ないしお店側にある。できたての 料理は変化が激しい。写真ばっかり撮っていないで早く食べて欲しいのも一番おいしい時間を味わって欲しいからだ。でもお弁当はデフォルトで冷めている。割り切って一番いい瞬間を諦めている。だからこそ、自分の時間で食べられる。食べる時間軸が自分の側にあると思える。 お弁当って読書みたいだ。本って感動の一文に出会ったら一回閉じて空を仰いだり、あれ ?ってちょっと戻ってみたり、自分のペースで読み深められる。お弁当もそんな風に行ったり来たりしながら味の散歩をするのが楽しい。外食体験だとそうはいかない。外食はお店の世界観や目の前の料理に没頭してのめり込んでこその映画的な体験。臨場感あふれる熱々も、じっくり味わうお弁当も、どちらもいいものだ。

味な店 誌面

 まだまだお伝えしなくてはいけないことがたくさんありそうですが、長くなりそうなのでこの辺で。「味な店」の魅力、みなさんに少しでも伝わるとうれしいです。

 最後に。インスタグラムでは「#僕の私の味な店」にて、みなさんが味だな〜と思うお店を募集しています。みんなで広げよう味な店のおいしい輪!

NEWS その1!!!

『味な店 完全版』の発売を記念して、平野紗季子さんが愛してやまない「ロイヤルホスト」様とグッズを制作しました! Tシャツ、フーディー、トートバッグをオンライン(一部、『伊勢丹新宿店』にて)販売予定。現在、絶賛準備中ですので整い次第、SNS等でお知らせさせていただきます。これを着て、ロイヤルホストに行きたいよね!

味な店

NEWS その2!!! 6/27 14:00-インスタライブ!

 さらにもっともっと『味な店 完全版』を知りたい!という方は、6月27日14:00〜 インスタライブにて平野さんが自ら本誌を解説します。平野紗季子さんと『POPEYE』および『Hanako』のSNSにて詳細は告知します!「ザ・ノンフィクション」もいいけど、今週はこちらをご覧ください〜。お楽しみに!

発売中!

平野紗季子 著『味な店 完全版』

食を通して店、人、町を描いてきたフードエッセイスト・平野紗季子さんによる渾身の飲食店案内が完成しました。味な店= “そこにしかない物語の宿る店” 。「実家皿の店」、「メニューがひとつの店」、「塩対応の店」など個性的な切り口で、愛しきレストラン、食堂、カフェなど総数100軒以上の飲食店へ取材を重ね、50テーマ&250ページを超える大ボリュームの一冊にまとめあげました。

contents

ジャケ買いでした。
実家皿の店。
ここは天国か?
OVER80(店主が)の店。
○○は飲み物な店。
ほぼ家の店。
ギンガムチェックレストラン。
兄弟よ。
姉妹よ。
姉妹よ。2
ルームサービスファンタジー。
1ヶ月休む vs 24時間年中無休。
動物がいる(というか鳥がいる)。
建築がすごい。
味なお弁当。
YAZAWAを愛する人の店。
上に住んでる。
リトルな店主のリトルな店。
どうしてその穴を掘り続けたの?
○○の奥に店が。
塩対応ですがなにか?
味な屋台。
緑の窓の店。
元スポーツ選手の店。
旅館かよ。
飾りはいらない。
歴史する店。
北国と南国。
おしながきはひとつだけ。
味なショップカードたち。
レースなクロスの店。
店主が一人。カウンターで。
街道沿いのホームメイドファミレス。
映えない。
突然ウフマヨコレクション。
元銭湯の店♨︎
名前がズルい。
味なチェーン店。
そのお皿、売ってくださらんか。
まつやと松屋。
図らずも植物性。
同姓同名的な店。
おいしすぎてどうかしている。
愛という名のもとに。
味なフードコート。
ソフトクリームの帰り道。
味な店が大変だ。
元気かな? 味な店。
増補版・あの人の「味な店」
私が『ロイヤルホスト』を好きな理由。