TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】北の国から〜秘湯を巡って〜

執筆:Hitomi Coco Konno

2025年9月23日

この夏、人生でいちばんの大冒険をした。
8月は車で祖母に会いに北海道へロードトリップ、北上の旅
9月は0歳の息子を抱え、往復45時間北欧への旅

あまりの大冒険なので、前後編に分けてお話しさせてください。

両親は仕事でいつも忙しかったので、
幼少期のほとんどの時間を祖母と過ごしたので、私は生粋のおばあちゃん子で
祖母の香りほど安心できる匂いはない。

そんな祖母は今年で100歳になる。

最初は当然飛行機で行くつもりだったのに、気づけばロードトリップに。
うっかり大冒険となってしまった。

旅先でも美味しいお酒も飲みたかったので、予めワインは7本いつもの酒屋で注文し、クーラーボックスは旅のあいだ、ずっとご機嫌に潤っていた。

今回の旅で気づいたんですが、美味しいお酒とジャッキー・チェンの映画はすごく相性がいい!

ルートは東京→山形→岩手→青函フェリーで北海道に移動し、函館→支笏湖→目的地(おばあちゃん)
帰りは知内町→青森→福島→東京

祖母の家では二泊、それ以外の場所は一泊づつ。
計7カ所の温泉を巡り、湯に浸っては疲れを流し、また次の目的地へ走った。
肝心のフェリーの予約をすっかり忘れてしまうというハプニングも。(毎日電話してキャンセル待ちにかけ続け、なんとかいい時間帯に滑り込むことができた。)

フェリーの中では、スティーヴン・キングの『死のロングウォーク』を読んでいた。バトル・ロワイアルの原点とも言われる小説で、公開間近の実写映画も楽しみ

この旅の中で、これからも通いたいと思える宿に出会った。

山形・出羽屋さんでは山菜料理の優しい味わいに心が満たされた。
次回は季節を変えて訪れたい。

岩手・七時雨山荘さんでは愛情たっぷりの郷土料理に癒され、さらに温かいオーナー夫妻の人柄にも心がほどけた。
霧がかかった朝のサウナは、神秘的だった。

水風呂は酒樽でできている

青森・谷地温泉さんでこれまで感じたことのない、秘湯の力を感じました。
ぬるめの下の湯で体を慣らし、熱めの上の湯に浸る。お風呂を上がった後、スッと体が軽くなった感覚が忘れられない。

丸駒温泉貸切の湖畔のサウナも絶景だけど、大浴場のサウナが個人的に好きなので、また日帰りで行きたいな。

画像は支笏湖・丸駒温泉、知内町の知内温泉、福島・向瀧

祖母の家では、ゆっくり家族と過ごした。
近所の懐かしい銭湯にも立ち寄ったが、すっかり古くなっていて、少し切なくなってしまった。

今でも忘れられないのが、祖母と従姉妹と3人で大雪の降る夜に入った銭湯の露天風呂。
従姉妹が湯桶いっぱいに雪を詰めて作った雪のケーキに、お風呂のお湯をかけると一瞬で溶けてしまった。
あのケーキの光景がなぜか今でも残っている。

プロフィール

Hitomi Coco Konno

ひとみ・ここ・こんの|タイムレスなカシミヤとシルクのアンダーウェアブランド〈HAZE UNDERWEAR〉を2023年にスタート。老舗ランジェリーショップ〈Gabrielle Peco〉のバイヤーとしても活躍し、世界中のランジェリー文化に触れる。20代をニューヨークやパリで過ごし、そこで培った感覚や経験をもとに、100年後も着られるタイムレスなアンダーウェアを作る。

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