ライフスタイル
僕の憧れの大人。/ 川崎 徹
大人へのファーストステップ。
2025年8月28日

大人になるって、わるくない。
illustration: Kazuma Mikami, Makoto Wada (profile)
text: Keisuke Kagiwada
2025年6月 938号初出
生き様のスタイルサンプルを見つけることは大人への近道。
4人の先輩たちは誰の背中に大人を感じたのだろう。
TORU KAWASAKI
川崎 徹
息苦しいこんな世の中だから
“無意味”であることが必要だ。
今ってとにかく説明が求められるじゃないですか。そういう堅苦しい時代だからこそ、’80年代に活躍していたCMディレクターの川崎徹さんは、僕が必要だと思う大人像を示している気がします。川崎さんの作るCMって視聴者がキョトンとしちゃうほどナンセンスなんですよ。樹木希林と岸本加世子がよくわからないやりとりをする「フジカラー」のやつとか、郷ひろみが「ハエハエカカカ、キンチョール」と叫ぶ「キンチョール」のやつとか(笑)。そんな川崎さんが自身のナンセンス論について語っている、『川崎徹の無意味講座』って本があるんですね。’90年代に放送されたテレビ番組『夜中の学校』に川崎さんが出演されたときの内容を書籍化したものなんですが、これがめちゃくちゃ面白い。
要するに、無意味であることがいかに素晴らしいかを説いているんですよ。哲学書みたいなんで難しいんですが、最後のほうで言っているのは、「あるけどないもの」が大切だってこと。氷山って、水面から出ている部分は見えているけど、その下には見えない部分があるわけじゃないですか。この見えない部分こそが無意味なんだって話で、そこを川崎さんは表現したかったってことなのかな。
この番組に出演したとき、たぶん川崎さんは40代だったと思うけど、普通は大人になると「無意味がいい」なんて言わないじゃないですか。学校の先生とかは、むしろ「それじゃダメだ」って教えてくる。でも、意味がなくていいことなんてこの世にはたくさんあると思うんですよ。川崎さんはCMという意味の塊みたいなメディアを通して、それを訴えていたのかもしれませんね。こういう大人が一人でも増えてくれれば、日本はもっと面白い国になるんじゃないかなって思います。
プロフィール

加賀美 健 現代美術家
かがみ・けん|1974年、東京都生まれ。社会現象や時事問題などをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、映像などさまざまな手法で発表。2010年、『ストレンジストア』をオープン。
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