フード

牛乳を温めて作る、フレンチトースト。

定番料理のニューディール。Vol.13

定番料理のニューディール。

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
web edit: Miu Nakamura
2025年5月 937号初出

2025年4月10日

『BEARD』店主・料理人の原川慎一郎さんによる本誌の連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第13回はフレンチトースト!

外側はしっかり焦げ目を付けてカリッとした食感に。内側は卵液が染み渡り、噛むたびにジュワッと旨味が溢れ出す。小ぶりに見えるけど、厚く切ったバゲットなら食べ応えは十分だ。添えたマーマレードの苦味は、この一皿の味わいの複雑さと奥深さを引き出してくれる。

– 材料(1人分)-

・卵 2個
・砂糖 30g
・牛乳 200㎖
・バゲット 4切れ(3㎝幅)
・バター 15g
・バニラアイス 適量

マーマレード
・オレンジ お好みの量
・水 オレンジと同量
・砂糖 オレンジと同量

– 作り方 –

1. ボウルに卵を割り、砂糖を加えて混ぜます。空気を入れるイメージで攪拌すれば、後で温かい牛乳を入れても卵に熱が加わりにくくなりますよ。

2. 牛乳を温めます。小鍋に入れて弱火にかけ、ヘラなどで混ぜて全体に熱が行き渡るようにします。沸騰しないよう火加減にはよく注意してくださいね。コーヒーなどで風味を加えるなら、冷えた状態の牛乳に加えてから火にかけてください。

3. 温まった牛乳を1の卵液に加えます。卵に一気に熱が加わらないよう、かき混ぜながら少しずつ牛乳を足してあげてください。

4. バットに3㎝幅に切ったバゲットを並べ、卵液を加えます。たまに裏返し、卵液がなくなるまで染み込ませましょう。目安は15分ほど。

5. バターをフライパンで中弱火で熱し、泡が出て落ち着いたらバゲットを入れて蓋をします。焦げができたら裏面にも火を入れましょう。

6. バゲットの側面を触り卵液が出なくなったら、火が内側まで入った証拠です。盛り付け、バニラアイスとマーマレードを添えます。

-マーマレード-

オレンジの皮と綿を同じ量切り出し、それぞれ刻みます。小鍋に皮と、皮が浸るくらいの水(分量外)を入れて茹で、茹で汁を捨てます。これを2回やり、皮のアクを取ります。皮に綿と水、砂糖を加え、煮詰めたら完成です。砂糖は3度に分けて、混ぜながら足しましょう。

– 今月の古来種 –

牛乳を温めて作る、フレンチトースト。

ダイダイ

遅くとも約600年前には日本にやってきた、いわばこの国の在来種。落果しにくく、同じ木に次代の実が(代々)なることからその名が付いた。このことから縁起物とされ、鏡餅にのせるなど正月飾りに使われる。

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種の野菜のこと。在来種ともいわれる。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
パン切り用のまな板を常備。

かつてフェス『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE』で頂いたという、木のまな板をパン切り専用に使用。自分でもこのくらいまな板を使い込んでみたい。包丁は独自の波刃で切れ味抜群のCHIC(250㎜)。

プロフィール

牛乳を温めて作る、フレンチトースト。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/