ライフスタイル
あの“所作”を早くやりたくて。
お部屋のマイナーリーガーズ Vol.1:ペーパーナイフ
photo: Kanta torihata
text: Fuya Uto
edit: Kosuke Ide
なくても(ぜんぜん)困らないけれど、あったら毎日の生活が(かなり)楽しくなる。騒がず目立たず、忘れられてる、マイナーだけどイカすヤツら。そんなお部屋の「名脇役」たちについて改めて目を向け、レコメンドする連載企画。マイナーリーガーズの歌を聴け。
2025年4月12日

ふと他人の「道具を使った所作」に見惚れることがある。友人が外出時でも携帯用の小さいシューホーンを使って靴を履いていたり、彼女が脱いだコートに洋服ブラシをかけてからクローゼットにしまっていたり……日常の何気ないことなのだけど、慣れた手つきでさらりとする他人の所作って格好よくないか。
そんな身につけたいと思っている所作のひとつが、「手紙をペーパーナイフで開ける」こと。滑らかに切り進める手捌きにどうにも惹かれる。それに、そもそも紙の封を切れさえすればOKなのだからカッターやハサミ、何なら指でも問題ないにもかかわらず、わざわざ専門道具を使うという行為に「ものごとに丁寧に向き合うマインド」を感じてしまうのだ。

〈オリベッティ〉の赤い鳥/1960年にイタリアの老舗タイプライターメーカー〈オリベッティ〉が、同国デザイナーのマルチェロ・ニッツォーリと手掛けた鳥モチーフの逸品は、軽くて丈夫なメラミン製。パッケージもセットでかわいいのがポイント。¥8,800(グラフィオ/ビューロスタイル ☎︎03・5738・2107)
とはいえ、今やコミュニケーションはメールやSNSなどデジタル全盛。ペーパーナイフはすっかりニッチな存在になっている、はず……と思っていざ探してみたら、考えていたよりずっと多種の商品が売られているのに驚いた。ドイツ発の端正なフォルムの〈RMSデザイン〉にルーペ/定規機能までついた〈サブロ〉。誰もが知る国内の100円ショップにすら並んでいるではないか! 起源とされる中世ヨーロッパの時代から現代に至るまで、使う人々が未だにいなくならないのは、やはり「意外と便利」だからじゃないか。何せ特別なテクニックは要らず、誰でも簡単に使えるのがいい。

〈カール・オーボック〉の「hand」シリーズ/言わずとしれたオーストリアのモダニズムを代表する⾦属⼯房〈カール・オーボック〉のヴィンテージ。手の部分が柄になった少々扱いづらいにフォルムだけれど、手や足など身近なものを着想源にしたオーボックの真髄がダイレクトに感じられる。¥33,000(arp)

〈ジョージ・ジェンセン〉のヴィンテージ/1904年にデンマークで設立された銀細工工房〈ジョージ・ジェンセン〉のペーパーナイフは、⼿に馴染む小ぶりなサイズでとにかく使いやすい。デザインはかつて同社のディレクターであり、「北欧デザインの父」と称されるヘニング・コッペルによるもの。¥6,600(FEM TRE NOLL)
早くあの「所作」をやってみたいけど、今や手紙が届く機会はそう多くない。なかなか開けるチャンスが来ないから、その間は、持っているだけでワクワクする佇まいの鳥モチーフの〈オリベッティ〉をオブジェクトとして眺めてもいいし、真鍮製の〈カール・オーボック〉の経年変化で徐々に飴色から深まる表情を楽しむのもいい。 基本的にはどのペーパーナイフも中身を傷つけないよう先端は少し丸く設計されていて、カッターのように鋭く切れない。だからこそ初めのうちはスムーズに進まないし、切り口もガタガタしてしまうけど、いつかは慣れた手つきでシュッと切りたいもんだ。そういう意味では、軽すぎず重すぎず、手のフィット感が抜群の〈ジョージ・ジェンセン〉のペーパーナイフが自分にとって近道なのかもしれない。

ルーペ&定規機能付きのペーパーナイフ/デクス周りで重宝すること間違いなし。倍率が2倍と5倍のルーペに加えて、持ち手の両辺にはそれぞれ7cmと3インチの⽬盛りがレーザー刻印された嬉しい設計。安価かつプラスチック製だから、心置きなくガシガシ使えるのもいい。¥440(サブロ ☎︎04・2221・8118)

〈RMSデザイン〉の「ssshhu」/ドイツの北東部、シュヴェービッシュ・グミュントを拠点とする〈RMSデザイン〉のプロダクト「ssshhu」。シンプルで洗練された造形美はもちろん、紙を切る際に聞こえる音がそのまま商品名になったネーミングセンスも秀逸。¥13,750(パピエラボ ☎︎03・5411・1696)
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