フード

鶏すきのシメとして作る、親子丼。

定番料理のニューディール。Vol.11

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
web edit: Miu Nakamura
2025年3月 935号初出

2025年2月10日

『BEARD』店主・料理人の原川慎一郎さんによる本誌の連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第11回は親子丼!

卵の黄色、一味の赤、春菊のグリーンと、差し色が効いた華やかな一杯。卵のとろっとした質感は、ざっくりとだけかき混ぜた卵液を2回に分けて入れれば簡単に生み出せる。鶏すき由来ならではの優しくて甘い香りが食欲をそそる。

– 材料(1人分)-

・米 250g
・玉ねぎ 1/6個
・長ねぎ 1/2本
・鶏肉 120g
・春菊 1本
・卵 2個
・酒 大さじ4
・みりん 大さじ3
・醤油 大さじ3
・砂糖 大さじ1
・顆粒だし 小さじ1/2
・水 大さじ4
・一味とうがらし 適量

– 作り方 –

1. ご飯を炊いておきましょう。水(分量外)は米と同量にして、少し硬めに仕上げるのが僕は好みです。

2. 玉ねぎは少し厚めに、春菊は1/4本程度に、長ねぎは斜めにカットします。鶏肉は火が通りやすいよう切り込みを入れて、ひと口大に。卵は混ぜすぎず、さっくり溶いておきます。

3. ボウルに酒、みりん、醤油、水、顆粒だし、砂糖を入れて混ぜます。あれば、より味に丸みが出るブラウンシュガーがおすすめです。

4. 3の割り下をフライパンに入れ、中火にかけます。酒の香りが飛んだら、玉ねぎ、長ねぎを入れ、くたっとしたら鶏肉を加えます。鶏に火が通ったら、春菊を入れて軽く馴染ませます。

5. 春菊がお好みのクタクタ具合になったら、卵液を半分だけ加えます。煮汁と卵液を絡ませてください。その後、残りの半分を入れ、火を止めて蓋をし、余熱で卵に火を入れます。

6. 卵がとろっとするくらいまで火が通ったら盛り付けましょう。お好みで一味とうがらしを振りかければ完成です。

– 今月の古来種 –

鶏すきのシメとして作る、親子丼。

中葉春菊

葉の切れ込みが深く、葉肉が厚く、香り高いことが特徴の、春菊の品種の一つ。関東で一般的に食べられている。今回使ったのは、雲仙市の種取り農家・岩崎政利さんが10年ほど種を取り、育て続ける「固定種」。

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種の野菜のこと。在来種ともいわれる。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
また板を重ねて使う。

キッチンの中央で、大きいサイズの上に小ぶりな一枚がのっている。聞けば、作業するのにちょうどいい高さにするための策。家の台所カウンターが低くてもこれで調整できるし、野菜・肉で使い分けるのも簡単に。

プロフィール

鶏すきのシメとして作る、親子丼。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/