ファッション
海沿いの街・ブライトンのクリエイティブな日々とスタイル。
Life In A Coastal Town
2025年2月1日
STYLE SAMPLE ’25
photo: Jack Orton
coordination: Rintaro Tezuka
text: Makoto Kikuchi
edit: Ayumi Taguchi
2025年2月 934号転載
イングランド南東の沿岸部に位置する街・ブライトンは、物価高が過酷なロンドンでの生活に疲弊した若手クリエイターたちに人気の移住先だ。ロンドンから電車で1時間と、交通の便も良いし、気持ちいい海とビーチもある。環境問題への関心が高いというこの街では、古着やスリフトストアのカルチャーも根強い。街の若者たちは口を揃えて「既製服はほぼ買わない」と言う。ブライトン在住のとあるクリエイターによれば、この街の良さは「とにかく人がフレンドリーでコミュニティに所属しているという実感を得られること」なんだとか。大都市では実感できなかった、人との強固な繋がりは、クリエイティブでいるためのインスピレーションを与えてくれる。ブライトンに行ってみたら、そんなコミュニティ感溢れるスローライフと、格好つけない彼らの等身大のスタイルが見えてきた。
ロンドンで人気の〈Story mfg.〉のアトリエと実店舗は、この街にあった。
デザインチームで働くサム。天然素材を好み、ナチュラルな色味や素材感を中心に選ぶという彼がこの日着ていたのは〈Story mfg.〉(@storymfg)のセーターだ。フェアトレードにこだわり、主にインドで生産されている商品は、一点一点独特な風合いを持つ。ブランド物や人気のコラボアイテムを着る彼のモードスタイルにもハマる。
オートミルクのラテが美味しいというアトリエ付近のカフェで、コーヒーを片手に佇むジェシー。元々ロンドン郊外出身のため、街にはすぐ馴染んだという。暗めな色彩のスタイリングだが、お気に入りで何着も持っているという〈Gnuhr〉のトップスが差し色に。彼女のイニシャル「J」の文字をカスタムしたキャップにも注目だ。
世界でここにしかない〈Story mfg.〉の実店舗で販売員をしているエミリー。ブライトンへは、大学進学を機に移住した。店舗はアトリエの上階にあり、毎週土曜限定でオープンする。オーバーサイズのMA-1に、ロンドン発の気鋭ブランド〈Chopova Lowena〉の象徴的なプリーツスカートを合わせてパンクな印象だ。
若きジュエリー職人と、シブいローカルの芸術家が同居していた。
〈The Ouze〉の二人が工房を構えるシェアアトリエの創設者で、アーティストのジョンは、ブライトン在住歴40年以上。敷地内にある車庫も彼の作品だ。主にメタルを取り扱い、制作は危険をともなうため、動きやすいワークウェアは必須。着古された〈Levi’s〉のジャケットは、ところどころ擦り切れていて味のある仕上がりに。
メンズウェアのデザインを学んだトビーは、3年前にジュエリーブランド〈The Ouze〉(@the_ouze)を立ち上げた。ニットは自作で、伝統的な英国ジュエリーに刻印されているホールマークがモチーフ。古着のシャツはボタンが取れてしまい、自分でランダムに付け直したのだとか。隣の愛犬ペギーも負けじとおしゃれ。
’60sへようこそ。さすが、モッズの聖地。
1992年に創業されたこの店の古株で、看板店員であるデイヴィッド。少しタイトめなシルエットのカーディガンと後ろに撫で付けたヘアスタイルが流石の着こなしだ。彼の世代の「モッズ・リバイバル」を牽引したミュージシャン、ポール・ウェラーもこの店を訪れていたそうで、店内にはサイン入り写真も飾られている。
街の大通りにあるショップ『Jump the Gun』(@jumpthegunuk)の若手スタッフ、エド。モッズファッションに特化したこの店は奈良にも支店があるのだそう。ジャケットは、ブライトンの隣町・ホーブ発のブランド〈Dawson Denim〉のもので、質の高い日本製のデニムを使用している。
生粋のレトロファッションオタクで、この店には10年以上勤めているローリー。履いているのは’90年代の〈Dr. Martens〉でパンツは’70年代の英国軍のもの。たまにロンドンを訪れて、買い物をすることもあるという。イギリスの老舗スーパーで購入したというキャップには自分でパッチを取り付けてアレンジした。
ロンドンからでも行きたくなるレコ屋。この街の音楽は元気だ。
レコードショップ『Bella Union』のSNS(@bellaunionvinylshop)を担当しながら、自身も音楽活動を続けているカム。お店のアカウントでは、オリジナルの物販アイテムを使ったコーディネートを披露することも。この日身につけていたのは、お母さんからのお下がりだというグリーンのニット。既製服を買うことはほぼないとか。
大学進学を機にブライトンに移住したというジョージーは、レーベルでアシスタントをしながら、シンガーソングライターとして活動している。彼女のお父さんの名前「Chris」がパッチされたワークジャケットは、ブライトンで人気の古着屋『To Be Worn Again』でたまたま発見し、購入。以来愛用しているのだそう。
音楽レーベルでもある「Bella Union」で、アーティストマネジメントを手掛けるローリー。自身も「School Disco」というサイケロックバンドのメンバーとして活動している。アメリカのワークウェアが好きで、この日はヴィンテージのワークジャケットを着ていた。スカーフはなんと、ドイツの養命酒〈Jägermeister〉のグッズ。
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