カルチャー
映画誕生から130年目を迎える2025年の初っ端に観たい3作。
1月はこんな映画を観ようかな。
2025年1月1日
text: Keisuke Kagiwada
『映画を愛する君へ』
アルノー・デプレシャン(監)
フランスの巨匠デプレシャン監督は、いかにして映画と出会い、自身も撮るに至ったのか。それを映画の誕生と進化をめぐるドキュメンタリーと交差させながら描く、エッセイ映画。いわゆる大文字の映画史をたどりつつ、ときにそこから脱線し、あくまで個人の想いを重視する姿勢(ゆえに『ノッティングヒルの恋人』のジュリア・ロバーツが絶賛されたり)が微笑ましい。リュミエール兄弟による世界初の映画上映会の開催から今年でちょうど130年目。そんなアニバーサリーイヤーを始めるのにこんなにうってつけな映画もない。1月31日より公開。
『エマニュエル』
オードレイ・ディヴァン(監)
70年代に日本で一大旋風を巻き起こした、お洒落フランスエロ映画『エマニュエル夫人』。作品自体は未見だとしても、上半身をあらわにした女性がピーコックチェアで足を組みながら、パールのネックレスを弄ぶヴィジュアルはどこかで見たことがあるだろう。それと同じ原作を用いつつ、現代を舞台にアップデートさせたのがこちら。描かれるのは、仕事で香港の高級ホテルを訪れたエマニュエルが、かの地で出会った謎の男を通して、真の快楽に目覚めていく姿。女性の性という映画では男性目線で曲解されてきたテーマを、女性監督の視点から捉え直そうという姿勢が新鮮だ。1月10日より公開。
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
アリ・アッバシ(監)

(C)2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.
次期米国大統領ドナルド・トランプの若き日にフォーカスした伝記映画だ。不動産会社社長のおぼっちゃまでしかなかった20代のトランプが、悪名高き弁護士のロイ・コーンと出会い、大物になるための手練手管を教え込まれながら不動産王になるまでの過程が、極めてフェアに描かれる。ちなみに、タイトルにある「アプレンティス」とは「見習い」を意味する映画と同時に、のちにトランプが司会を務めるバラエティ番組(参加者がホストの企業で見習いとして働いた後、本採用されるかどうかを決めるという内容)の名前でもある。うまいタイトルだなぁ。1月17日より公開。
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