TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】すくぶん。

執筆:田口雄一

2024年10月14日

通勤途中のママチャリにゆられている時に、
ふと、何か自分自身を吐き出せる場があったらいいなと思った。
不思議と、自身の内面から静かにぽっと浮かび上がる大切なことは、この通勤途中に多い気がする。
考えてるようで考えていない、ストレスのない空白な時間。

『湯気』というお店を営みながら発している事とは別に、もうひとつ、違う語り口で呼吸できるような場。それはなんだろうと思った時にコラムやblogという言葉が頭上に浮かんだ。

THE COLLECTORSというバンドが「池袋交差点24時」というポッドキャストをやっており、唯一それだけは日課のように長く聴いている。
ここからは自分の空想だが、バンドというのは新しい曲を作り、ライブをして、お客さんに伝える行為のルーティンだと思う。しかし長くやっていたりすると、照れ臭さなどもあり、話したいけど話せないことなどは多分にあると思う。リーダーとコータローさんは、この解決をポッドキャストで上手く楽しくそして面白くやっているような気がする。勿論信頼という絶対的な条件が必要だが、要は継続するってことは大変なことで、いかに継続していくかの工夫が自然にこの場では行われている気がする。
古市コータローさんのblogも毎月拝読している。日記のように毎日を綴り、月に何回かは「人生の休日」という言葉で終わらせる日もある。この人生の休日には、本当に休日という充実した日と、忙しいから書けない日や、二日酔いなど、様々なことが想定されるが、そんなことはどうでも良く、この魅力ある一言で片付ける肩の力の抜け具合が素晴らしい。『湯気』のインスタで使っている昼飯のことを「チンラ」という名付け親はコータローさんである。
一度お時間ある時に皆さま聴いてみてください。くすくすできる幸せがここには存在します。
https://donut.main.jp/bukuro24.html

話は長くそれてしまったが、自分にも、そういった料理やお店とは別の、自身と対面する方法も大事なんでなかろうかと思ってた矢先、このポパイマガジンのミニコラムのご縁を頂いた。こういった不思議なタイミングには自分でも驚かされる。
しかも丁度10月1日から10日まで秋休み期間。思う存分気持ちを吐き出せると余裕を持っていたが、今日がその原稿締切日で焦っている…

信頼している編集長に、たぐっちゃんは料理人だから、料理のことを書きながら風呂敷を広げていったら良いよと言われ、そうしようと企んではいたんだが、中々そこまで辿りつかない。。ということで、この一ヶ月の毎週一回、計四回で、自分が料理の話をどこまでできるか、それともまた違った風合いでいくのかは、その瞬間今の気持ちに託そうと思う。笑

『湯気』と妻 めめが始めた花屋『LOVELETTER』は、好き勝手に夫婦二人三脚で始めた。二つのお店が、40歳を迎えようとしている今、違うフェーズに向かおうとしてる気もする。スタッフにも恵まれ、考え方も自ずと変わってくる。

違和感を感じて生きてきた
いや、むしろ、その違和感を探しているのかもしれないと。偶然ラジオから流れた、その言葉に同じ気持ちだと、ドキッとした

不思議なことに大抵のことは向こう側からやってくる。しかしそれは、がむしゃらに汗臭く生き、沢山のたんこぶを作った結果だとも思う。

なぜ料理畑ではない自分がいま、『湯気』をやっているか、中々薔薇な珍道中ではございますが、どこまで胸に手を当て素直に書けるか、新しい挑戦ではありますがどうぞよろしくお願いいたします。

ふざけている自分と 
ふざけられない自分が
日々葛藤している
ミニコラムスタート

プロフィール

田口雄一

たぐち・ゆういち|1984年群馬県生まれ。
『沖縄料理あしびなー』 『佐藤家常教室』を経て、新中野で中華料理
『湯気』を営む。

Instagram
https://www.instagram.com/yuge_nakano/