カルチャー

特集「僕らのチープシック2024」

NO.930

僕らのチープシック2024

2024年9月8日

Fashion Issue 2024

「あなた自身が、自分のために自分でつくり出す服装のスタイルについて書いたのが、この本です」

 1975年に上梓された『チープ・シック』の冒頭で、筆者のカテリーヌとキャロルが記したように、“チープシック”とは値段の高い、安いということだけではない。シンプルで機能的なワークやミリタリー、アウトドアウェアは心強い味方になる。たとえ値が張っても、上質で仕立てのよいものは10年後もきっと後悔はしない。そう、お金も時間も無駄にせず、いかに賢くワードローブを揃えていくかの話だ。さらにいうなら、ファッションに振り回されない自律性や健康な体こそチープシックな人生を謳歌するための大切な前提とさえ綴られている。これって、2024年の今も色褪せないというか、より現実味を帯びて迫ってくる。そんな時代を超越した名著のアップデート版として、POPEYEが考えたのがこの特集。POPEYEが信頼する30人の“チープシックラバー”と一緒に、じっくりと吟味しながらこの秋冬に欲しいもの、これからずっと愛用したいものをラインナップ。

BASIC

 いっときの流行やファッションに流されず、自分の人生を追う。チープシックの基本はベーシックを定めることにあり。POPEYEが敬愛する30人にまずはスタイルの土台となるTシャツ、シャツ、パンツについて聞いてみた。

CLASSIC

 上質で仕立てが良く、時代の流れに左右されないオーセンティックなデザインで、末長く付き合える「クラシック」なものをワードローブに加えたい。

TRAD

 装いの柱にもなるトラディショナルなスタイル&アイテム。ブリティッシュとアメリカン、2つのトラッドを正しく咀嚼する〈コム デ ギャルソン・オム〉をジャパニーズ・トラッドと呼びたい!

WORK

 武骨でタフでリーズナブル、何よりも機能的という真骨頂はそのままに、細部や素材、染めなどで、より豊かな表情になったワークウェア。

DENIM

 原著となる『チープ・シック』のなかで「人生の幸せ」とも記されているのが、「完璧な3本のジーンズ」との出合い。デニムを愛する6名に倣い、僕らも視点を定めて候補を絞り、とにかく足を入れまくって最高のデニムを手に入れたい。

OUTDOOR

 スペックは進化しても、ストイックな見た目はずっと変わらず。ギアであり、日用品であり、汎用性の高い普段着であり続ける。24年のアウトドアウェア、その最高峰の機能美をラインナップ。

WRAPPING

「一枚の布」の扱いを考えるのは、自分らしい着こなしの入り口。スウェットやパーカの上に、スカーフや大判バンダナを巻いてみよう。見慣れたワードローブが、また違った気分で楽しめるから。

MILITARY

 有事の際に命を守るために生み出されたデザインは本来の目的から離れても、メンズウェアの基本として受け継がれている。『中田商店』を徹底ディグして、欲しいもの全部をセレクト。

インフォメーション

特集「僕らのチープシック2024」

POPEYE2024年10月号「僕らのチープシック2024」

1975年、アメリカのふたりの女性ジャーナリストが上梓した『チープ・シック』。これは安物買いを推奨した本ではなく、むしろその逆。無駄な買い物をせずに賢くファッションを楽しむ指南書だ。物価高に円安とずいぶんと服が高くなった昨今だからこそ、半世紀を経てなお示唆に富んだ名著を、POPEYEの視点からアップデートしながら、チープシックを考えてみた。特集は「ベーシック」「クラシック」「トラッド」「ワーク」「デニム」「スポーツ」「アウトドア」「ミリタリー」などカテゴリーごとにチープシックなものを紹介するともに、エヴァン・キノリやジャン=リュック・アンブリッジなど注目のデザイナーにもインタビュー。ロンドンとニューヨークの若者のチープシック観にも迫り、チープシックなショップガイドやケアのページも。ファッションと人生を考える特集。