フード

東京おにぎりパトロール。Vol.10

2024年8月31日

東京おにぎりパトロール。


photo: Yuki Sonoyama
text: Nozomi Hasegawa

駒場東大前/食堂コマニ

すごい鯖マヨネーズ和え(左)、玄米しいたけ昆布(右)各¥250、鮭&すじこ(親子)(中)¥400

東大の学食で、優しく巨大なおにぎりに遭遇。

 東京大学の駒場第二キャンパス内にある『食堂コマニ』は学生や職員だけでなく、なんと学外の人も訪れることのできる学食。無農薬野菜に肉、魚、米、調味料まで、すべて国産で、産地と生産者が明記されていて、リーズナブルな価格でありながらそのクオリティは学食の域を超えている。山形県の農家、池田明夫さんの「天日干し ひとめぼれ」で作るおにぎりは両手で収まりきらないほど大きくふわふわ。1個で充分と思いきや、具材の美味しさも相まって2個目、3個目と余裕で食べられるから驚いた。看板メニューの「すごい鯖マヨネーズ和え」には、茨城県の「越田商店」が40年以上継ぎ足してきた特性つけ汁で作る鯖の干物を使用。自家製マヨネーズのアシストでさらに濃厚な味わいとなった鯖がご飯にマッチ。「玄米しいたけ昆布」は、出汁をとった後の昆布を、椎茸と一緒に時間をかけて煮込んだ自家製佃煮入り。優しい味わいで、実家のおにぎりを思い起こしてくれる。贅沢したいときはプラス150円で「鮭&すじこ(親子)」をどうぞ。とにかくお腹が空いているときはおにぎり2個と具沢山豚汁、自家製のぬか漬けがセットになった「オーガニック野菜の具沢山豚汁定食」をぜひ。お値段なんと950円。具沢山で、訪れた日は夏野菜のゴーヤも入っていた。

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東京おにぎりパトロール。Vol.10

食堂コマニ

入り口ではメインキャラクターのコマニちゃんがお出迎え。頭には東京大学の校章でもあるイチョウの帽子を被っている。

◯東京都目黒区駒場4-6-1東京大学駒場リサーチキャンパス ☎︎03・6416・8722 ランチタイム11:00〜LO14:30 ティータイム15:00〜17:00 土・日・祝・年末年始休 ※価格は取材当時のものです。

Instagram
https://www.instagram.com/shokudo_komani

神田/シイナノゴハン

まるみ豚レタス(右上)¥330、とろけるチーズスパム(左上)¥300、肉巻きおむすび(下)¥190。

ジャンクな肉おにぎりをめがけて、日本流ファストフード店へ。

 神田の『シイナノゴハン』は、ジャンクなおにぎりの宝庫。「クリームチーズ明太子」「スパイシーツナマヨ」「鶏マヨマスタード」と、惹かれるネーミングが並んでいるが、宮崎県産の「まるみ豚」で作る名物「まるみ豚レタス」は外せない。その名の通り、片手で焼肉を楽しんでいる気分になれるシロモノだ。「3年ほどNYで営業マンとして働いていました。アメリカでファストフードと言えばピザやハンバーガーですが、外回りの最中に食べたかったのは片手で食べられるおにぎり。いつかはアメリカで出店することを夢見て、まずは日本でファストフードとしてのおにぎりを提供しようと思ったんです」と、店主の椎名貴昌さん。包み紙がバーガー袋というところがなんだか愛らしい。俵形にしたおにぎりをまるみ豚で包んで焼き上げた「肉巻きおにぎり」は、2〜3口で気軽に食べられるサイズ。「とろけるチーズスパム」は、黒コショウをまとったおむすびに濃厚なゴーダチーズをオン。仕上げにバーナーで炙っているため香ばしく、スパムの塩気がよいアクセントになってくれている。

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シイナノゴハン

オフィス&学生街の神田で土曜日も営業している数少ないお店。おにぎりは玄米に変更もできるが、昼頃には売り切れてしまう人気ぶり。玄米を注文するなら早めに行こう。

◯東京都千代田区神田東松下町12-1 ☎︎03・6206・9278 9:00〜19:00 土〜14:00 日休、祝不定休 

Instagram
https://www.instagram.com/shiinano_gohan

大久保/東京巷口飯糰店

原味¥680、鮪魚¥780、甜味¥430。

驚異の具材6種類。本場に負けない台湾おにぎりは大久保にあり。

『東京巷口飯糰店』(トウキョウ・シャンコウ・ファントァンディエンと読む)は、台湾おにぎりの専門店。定番の「原味(オリジナル)」を一口、餅米の中にピーナッツ、高菜、干し大根、油條(揚げパン)、煮卵、肉鬆(肉でんぶ)と6種類もの具材がみっちみちに詰まっている。店内仕込みの油條は2度揚げしているからザクザク、大根はポリポリ、高菜はシャキシャキと食べる箇所によって変わる食感や、五香粉の独特な香りに肉鬆の優しい甘みが口いっぱいに広がり「ここは台湾か!」と大久保の道端で叫びたくなるほどうまい。「具沢山おにぎりは台湾の朝ごはんとして屋台などで作られているんです。現地の味に近いものを提供したいので、食材はできるだけ台湾から仕入れたものを使用しています」と店主の吉田尚史さん。台南発のソーセージ『黑橋牌香腸』入りの「香腸(台灣ソーセージ)」は人気すぎて、次回の入荷を待っている状態だという。もうひとつのレギュラーメニューとなる「鮪魚(ツナ)」は原味の具材にツナをプラスした贅沢仕様で、お腹が空いているときに最適。油條をもっと味わうべく「甜味(スイーツ)」もオーダーした。台湾では脇役的存在の、甘いおにぎり。日本でいうところのおはぎなのだろうか、油條がさらにたっぷりと入っていて、さとうきびとピーナッツの甘味がちょうどいい。二度見したくなる味だった。

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東京巷口飯糰店

台湾料理店でもなかなか見かけない「米漿(ミージャン)」(¥420)は、ピーナッツと黒糖、お米によるピーナッツシェイク。ふわりと優しい甘味を感じられる一品で、おにぎりのテイクアウトついでに購入したい。現在スタッフ募集中のため、気になる方はInstagramのDMや店頭などで問い合わせてみよう。

◯東京都新宿区百人町1-23-11 ☎︎なし 11:00〜19:00頃(売り切れ次第終了) 不定休 営業時間等は当日のInstagramのストーリーズでもお知らせ

Instagram
https://www.instagram.com/tokyo_taiwan_onigiri/