カルチャー

暑さを逃れて辿り着きたい展示4選。

さーて8月はどんな展示に行こうかな。

2024年8月8日

空間と作品
@アーティゾン美術館

岸田劉生《麗子像》1922年 石橋財団 アーティゾン美術館

酒井抱一・鈴木其一《夏図(十二ヶ月図の内)》江戸時代 19世紀 石橋財団アー ティゾン美術館

美術館の展示室に整然と並ぶ美術品たち。それらの作品の出自を振り返ってみると、最初から美術館のために制作されたわけじゃなく、邸宅の建具として作られたり、プライベートな部屋を飾るために描かれたりと、作品を所有する人との関係によって生み出されていることがしばしば。展示室にたどり着くまでに、長い長い時を何人もの手を渡って受け継がれてきたものだってある。本展はそんな「美術品が在ったその時々の場を想像し、体感する」ことにフォーカスし、モネ、セザンヌ、岸田劉生、琳派などなど充実の石橋財団コレクション144点を紹介。美術品がどのような状況で生まれ、どのように継承されたか、趣向を凝らした展示空間でイメージを膨らませることができる。作品そのものだけじゃなく、美術館の役割や美術品のあり方についてまで考えを巡らせてみたい。QRコードで読み込める学芸資料や、アプリで聴ける無料の音声ガイドなどが利用できるため、家にスマホとイヤフォンを忘れないように!

インフォメーション

空間と作品

会場:アーティゾン美術館
会期:2024年7月27日(土)~10月14日(月祝) 
時間:10:00~18:00(※毎週金曜は20:00まで。入館は閉館の30分前まで)
料金:ウェブ予約チケット1,200円(窓口販売1,500円)、大・専・高校生はウェブ予約で無料、中学生以下/障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は予約不要で無料※予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを販売。
休み:月曜日(8月12日、9月16日、9月23日、10月14日は開館)、8月13日、9月17日、9月24日

公式ウェブサイト
https://www.artizon.museum/exhibition/detail/574

メディウムとディメンション:Maze
@GASBON METABOLISM

磯谷博史「マツモト建築芸術祭」(展示風景)池上邸 土蔵、2022年

玉山拓郎「Dirty Palace」(展示風景)CALM & PUNK GALLERY、2018年 Photo: Nii Takamitsu

「Maze=迷路」をテーマに9つの展覧会を同時開催するちょっぴり変わった展覧会。久保田荻須智広、うしお、玉山拓郎、鹿野震一郎、豊嶋康子、長田奈緒、磯谷博史、髙田安規子・政子らによる9つの展覧会が1つの会場で開催。それぞれに特異性はもちつつも、それ以外の8つの展覧会と時間と空間を共有することで重なり合う。要するに、一度で九度おいしい展示ともいえそうだ。会場となる「GASBON METABOLISM」は、山梨県北杜市の巨大工場跡地をリノベーションしたギャラリー、展示スペース、制作スタジオ、アーティスト・イン・レジデンス、作品倉庫などの機能を多目的に展開する施設。用途の多様さがもはや「迷路」級だが、そんな場所で、いくつもの空間や境界が折り重なった複雑さを受け取り、刺激を受けに行ってみよう!

インフォメーション

メディウムとディメンション:Maze

会場:GASBON METABOLISM
会期:2024年7月26日(金)〜9月2日(月)
休み:火、水、木曜日
時間:11:00~17:00
料金:無料

公式サイト
https://www.instagram.com/gasbon_gasbook/

芸術は、自由の実験室─夏のアートキャンプ
@川崎市岡本太郎美術館

岡本太郎の発言や著書の言葉には、単なる美術の枠組みを超えて新たな視座を与えてくれる名言が溢れていることは周知のとおり。『芸術は見るだけではなく全ての人の作るものであり、自由な衝動のままに「勝手気ままに描ける」子どもたちだけでなく、「精神の皮が硬くなって」しまい、自分自身の「自由感」を忘れてしまった大人にも有効な、「自由の実験室」なのだ』と岡本太郎の言葉を引用し掲げる本展にも興味が湧く! 川崎市市制100周年を記念し開催される本展では、「岡本太郎現代芸術賞」出身となる國久真有、園部惠永子、西除闇、村上力ら4人の作家による、人のすがたの表現や身ぶりを大胆に使った作品展示とワークショップを楽しめる。公開制作や来場者参加型作品、気になるワークショップがたくさん。子どもだけじゃなく、大人も心と身体を使って、本気の遊びから「自由」を研究しに行こう!

インフォメーション

芸術は、自由の実験室─夏のアートキャンプ

会場:川崎市岡本太郎美術館
会期:2024年7月20日(土)〜2024年9月1日(日)
休み:月曜日(8月12日を除く)、8月13日(火)
時間:9:30〜17:00(※入館は16:30まで)
料金:一般900円、高・大学生・65歳以上700円、中学生以下は無料

公式ウェブサイト
https://www.taromuseum.jp/

開発好明 ART IS LIVE―ひとり民主主義へようこそ
@東京都現代美術館

《ART IS LIVE》2024 年 撮影:谷岡康則

《政治家の家》福島県南相馬市 2012 年

木場のダメパンダ

開発好明による都内美術館初となる大規模個展が開催。開発はそのキャリアの最初期となる1990年代から、日常生活や社会現象など身の回りの出来事への関心を起点に、コミュニケーションを内包、誘発する表現活動を継続してきたアーティスト。自分や友達に書いた手紙が 1 年後に届く《未来郵便局》、「誰もが先生・誰もが生徒」を合言葉に授業が行われる《100 人先生》、地下スタジオに様々なゲストを招く《モグラ TV》、失われてゆく地域言葉を収集する《ことば図書館》など、絵画、写真、パフォーマンス、インスタレーションの制作のみならず、日々のライフワーク、学校や地域でのワークショップなどなど、表現形態は多岐にわたる。個々の小さな声に向き合い淡々と自分にできることを継続する、作家流の「寄り添うアクティヴィズム」は「ひとり民主主義」(故・池田修)とも名付けられた。美術館での収蔵や展示が前提とされていないものも多い、開発のプロジェクトや作品を総覧できる貴重な機会。この展示タイトルの意味を受け取りに行ってみよう!

インフォメーション

開発好明 ART IS LIVE―ひとり民主主義へようこそ

会場:東京都現代美術館
会期:2024年8月3日(土)〜11月10日(日)
休み:月曜日(8月12日、9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、8月13日、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日
時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)※8月9日、16日、23日、30日の金曜日は21:00まで開館。
料金:一般1,500円、大学生・専門学校生・65 歳以上1,100円、中高生600円、小学生以下無料。本人に限り会期中何度でも入場できる 開発好明展パスポート2,800円。

公式ウェブサイト
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/art-is-live/