トリップ
砂漠の中に突如現れたのは、シャンバラ(天国)だった。
@モンゴル サインシャンド
2024年8月2日
僕の熱帯アジアひとり旅
photo: Ryohei Ambo
coordination: Bayasgalan Ganbat, Ankhbayar Chuluubaatar, Nomin Gankhyag
edit: Koji Toyoda
2024年8月 928号初出
ゴビ砂漠の聖域は、ガルガル(モンゴル語でヤバい)の連続。
360度どこを見渡してみても、砂、砂、砂。地平線までベージュが埋め尽くすここは、かの有名なゴビ砂漠。都市伝説によると、巨大な人喰い芋虫型UMA、モンゴリアンデスワームが存在するというが、それも納得の雄大さ! 教科書で見たフタコブラクダも目の前の道路をさも当たり前のように横断する。そんなロードムービーのような世界のどこかに、今回の最大の目的地「シャンバラランド」が首を長くして待っている。ラジオから流れる「We Are The World」を聴きながらタクシーで1時間も爆走。代わり映えしない風景が続くが、どれも初めてだから見るものすべて飽きない! 「おっ、こんな僻地にも建物が」と思ったら、そこがまさかの〝シャンバラランド〟だった。
Shambhala Land
シャンバラランド
モンゴル人の間では、“エネルギーセンター”とも呼ばれるシャンバラランド。入り口のブッダアイで目を合わせて、渦巻きが動いて見えたら、すでに聖なるパワーを持っている証拠。全然ダメな人は上の場所で充電した後に再トライしてみよう。ちなみにセンターの北側にはダンザンラブジャーの歌碑も。「ウレムジーンチャナル」という先生作詞の歌を歌うのがお決まりとか。
インフォメーション
シャンバラランド
◯Dornogovi, Sainshand, Monastery Khamar 8:00〜17:30、入館料₮5,000(外国人の場合)
ゴビ砂漠はパワースポットの宝庫!
この一帯は、19世紀の偉大なラマ僧であり、知識人であったダンザンラブジャーが開いたモンゴルのチベット仏教の聖地。「瞑想の岩窟」「ハマル寺院」「おっぱい岩」など、由緒正しき史跡が点々と散らばる中でも、お目当ての「シャンバラランド」は、〝先生〟がこの場所にこそ世界のエネルギーが集まると信じ、108の仏塔で囲ったサンクチュアリ。東京で〝何やら怪しげな目〟だと思っていたモチーフは、〝ブッダアイ〟と呼ばれる神様の目だった。マニ車(お経を一回唱えたことになる)を回しながら、ついに念願の赤砂がサークル状に敷き詰められた上に寝そべる。空が広い。突き抜けるように青い。心なしか体が熱くなってきたような。と同時に穏やかな気持ちで満たされてきた。おぉ、もしやこれが島田さんも体感したパワーチャージか。たまたま居合わせた日本語が喋れるモンゴルの方に聞いたら、他よりも磁力が高い場所らしい。なるほど! このサウナ明けにも似た謎の高揚感も磁場の影響? いや、これは大自然から授かったパワーだ。思い込みの力こそ最強なり。ゴビ砂漠の端っこで宇宙の真理を授かった気がした。そんな新たな気持ちで残った聖域を片っ端から回る。ウランバートル行きの列車に乗った頃にはエネルギーの過剰摂取で、周りの人には聖なるオーラが見えていたはずだ。
Khan Bayanzurkh Mountain
黒い山
登頂すると願いが叶うとされる通称黒い山。いまだに女性は中腹までしか登ることを許されていない聖域。ゴビ砂漠を一望するなら迷わずここ。
インフォメーション
黒い山
◯17km north-west of the Monastery Khamar, Sainshand, Dornogovi
Byasalgaliin 108 Agui
瞑想の岩窟
ダンザンラブジャーの弟子たちが108日間も篭もって瞑想したという洞窟。なかには日本からやって来た侍もいたそうで、桜を植えていった逸話も残る。春には、荒涼とした砂漠にもかかわらず、綺麗な花を咲かすという。
洞窟には、母の子宮口と呼ばれるものも。無事潜り抜けられたら、新しく生まれ変わることができるそうだ。
インフォメーション
瞑想の岩窟
◯Dornogovi, Sainshand, Monastery Khamar
Mother Breast Heap of Monastery Khamar
おっぱい岩
砂漠の中には巨大なおっぱいが鎮座! 女人禁制だった“黒い山”に登れない女性のためにダンザンラブジャーが作ったそうだ。岩にミルクを染み込ませて、時計回りに願かけすると、子宝に恵まれるという言い伝えも。
おっぱい岩近くに、何げなく立っていた標識。ビスが打たれた位置がちょうど目に見えて、驚いた人の顔のようでかわいい。おそらく砂丘地帯ですよーという意味だと思われる。
インフォメーション
おっぱい岩
◯Dornogovi, Sainshand, Monastery Khamar
19世紀ここは、文化の中心だった。
Buddhist Temple Khamaryn
ハマリン寺院
1820年、ダンザンラブジャーによって建設。瞑想の岩窟やシャンバラランドもこの寺院の一部だ。当時は学校や図書館、演劇場なども備え、文化センター的な役割を果たしていたそう。現在も国内人気が高く、週末はお経を唱えてもらいに来る人が後を絶たない。
インフォメーション
ハマリン寺院
ドラゴンボールに出てきそうな巨大な仏塔がシンボル。社会主義時代に破壊されたが、’92年の民主化以降修復が続く。拝観料無料。
◯Dornogovi, Sainshand, Monastery Khamar 8:00〜17:30 無休
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