トリップ

寺からエントリーし、文化を感じながら歩く裏山歩き。

@鎌倉

2024年7月3日

カラダにいいこと、なにかしてる?


illustation: Kazutaka Tsugaoka
photo: Hirokazu Kobayashi
text: Fuya Uto

自然に浸りたいけど、ハードな登山には腰が重い人へ。
山歩きへの気持ちが“ウルトラライト”なハイク案内。

 自然の中に身を置き、歩く。しんどい印象がありますが、コースさえ選べば誰でも楽しめるアクティビティ。木々や苔が生い茂る低山では、森の豊かさをはじめ周辺にまつわる文化を。一方で山々が連なる稜線では、果てない広がりから自然本来の厳しさを感じ取れます。ちなみに今回ご紹介した場所以外にも、八ヶ岳の「本沢温泉」を目指すルートは、日本最高所の露天風呂が味わえて格別ですよ。まるで野湯。ザックといった道具もビギナーこそ、より軽いのがオススメです。

教えてくれた人

寺からエントリーし、文化を感じながら歩く裏山歩き。

夏目 彰

〈山と道〉代表

なつめ・あきら|アートや出版の世界で活動する傍ら、’00年代から山とウルトラライト・ハイキングの世界に深く傾倒。’11年に夫婦で〈山と道〉を創業。製品開発のみならず、イベントやメディア発信にも精力的。

 夏目さんが真っ先に薦めてくれたのは、〈山と道〉の材木座店も近くにあり、日頃から慣れ親しんでいる鎌倉の「天園コース」。北から東に連なる鎌倉アルプスを横断するコースで、地元民も散策している裏山のような場所。都内から電車でふらっと行けるし、エントリーが「明月院」からと縁起も良さそうだ。立派な本堂にある「悟りの窓」を眺めれば、準備万全。いざ、横浜市と鎌倉市の市境にある最高地点159.2mの「大平山」を目指す。歩いてみると、子供連れも多く、時折思わず走っちゃったくらい緩やかな勾配。にもかかわらず、ロープを使って登り下りするポイントやパワースポットの十王岩など、バラエティ豊かで楽しい! 気がつけばあっという間に天園に到着する。ここは街並みや伊豆半島が見渡せる景勝地なだけでなく、みずみずしい新緑の木々に囲まれているヒーリングスポットだ。かの東郷平八郎が「天国の園に遊ぶよう」と例えたことが由来らしく、適当に腰掛け、山ごはんをいただけば気分も上々。

ゴルフコースが隣接する大平山からの眺め。ナイスショッオー。

 一息ついたら、瑞泉寺方面へ下ろう。というのも、「やぐら」という中世の墳墓があるこの地帯は、「瑞泉寺裏山やぐら群」と呼ばれる史跡エリアで見応え抜群だから。古都鎌倉の文化を肌で感じ取れるだけでなく、低山ゆえに、ずーっとウグイスが鳴いていて贅沢な気分に。街の解像度が上がり、愛着も湧く。これこそ、〝里山歩き〟の醍醐味なのかもしれない。

瑞泉寺の岩庭を見てると、坐禅を組みたくなった。

インフォメーション

天園ハイキングコース

標高159.2m。2時間ほどで楽しめる全長5〜6㎞のコース。北鎌倉駅から歩いて約10分で明月院に到着する。山、海、街がコンパクトにまとまっているから、下山後も楽しみが満載。瑞泉寺に立ち寄ったあとは、レンタルサイクルを利用して浜辺で夕日を。からの、鎌倉ビールを流し込み、電車に乗り込もう!