ライフスタイル

【#3】山のビジネス講座

執筆: 坂本大三郎

2022年2月28日

photo & text: Daizaburou Sakamoto
edit: Yukako kazuno

みなさんこんにちは。コロナ禍や不穏な国際状況で、先行きが怪しいこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?

日頃、絵を描いたり、文章を書いて生活している僕ですが、春になると山菜採りをして生活の足しにしています。人と接するのが得意ではない自分には山で誰にも会わないで済む仕事は気が楽です。人には会いませんがクマに会うことはあります。僕の場合は年に2〜3回遭遇しています。たまに襲われる人もいます。

山菜は日本全国の山々に自生しているものですが、特に僕が暮らしている東北・山形では、伝統的に山菜が食されてきました。山伏は里から山に人を連れてきて宿泊させ、食事を提供していたので、山で食材を採ってくるのも山形では山伏の仕事だったそうです。以下に代表的な山菜をあげます。

・フキノトウ
・コゴミ
・コシアブラ
・ウド
・タラノメ
・ゼンマイ
・ネマガリダケ

これらの山菜が採れるのはこんな場所です。

ここは、かなり崖です。落ちたら危ないので、こんな場所で山菜採りするのはおすすめできませんが、山菜は土砂が崩れて土が剥き出しになったような場所に多く生えてきます。山道の端に生えているものもあります。でも量を採ろうと思えば、やはり山奥にいかなければ難しいです。

崖をおりるところ
山菜の生えている斜面

これらの山菜は、ネットで販売しているものをみてみると、おおよそ500グラムから1キロで3000円から5000円ほどで売られているようです。僕は山に入れば、これらの山菜を一度に20キロくらいは採ってきます。僕は馴染みの旅館や知り合いに直接販売しているので、だいたいキロ1000円から2000円くらいで売っています。

人によっては大きなリュックに40キロ以上の山菜を詰めて下山してくる人もいます。キロ1000円で販売したとしても4万円になります。それを3ヶ月、毎日おこなえば360万円の収入になります。でも、やってみるとわかりますが、それはメチャクチャハードです。1年のうち3ヶ月だけ山菜採りをして、あとは働かないという山菜採りもいますが、よほどの体力がなければ無理です。

毎年、出羽三山周辺では山菜採りに出て遭難する人がいます。みつかることもあれば、そのまま行方がわからない人もいます。ふつうの登山にも危険が伴いますが、道無き道をゆく山菜採りは、さらに注意が必要です。

ウド

山菜採りをしてみたいという人がいたら、まずは簡単に安全で簡単に採れる場所をみつけて、慣れてきたら少し山に入ってみるという方法が良いのではないかと思います。

あと、気をつけなければいけないのは、山菜採りをしてはいけない山も多くあるという点です。知らず知らず法を犯してしまうこともありますので、まずは、その山が誰の持ちものなのか、採っても良い場所なのかを確認しましょう。

冬が終わり、春らしい気温になってくると、山はだんだんと雪が溶けていきます。毎年、雪溶けの時期は山菜採りに出かけるのが楽しみでソワソワしています。

プロフィール

坂本大三郎

さかもと・だいざぶろう | 芸術家、作家、山伏。千葉県生まれ。自然と人の関わりの中で生まれた芸術や芸能の発生、民間信仰、生活技術に関心を持ち東北を拠点に活動している。著書に『山伏と僕』(リトルモア・2012)、『山伏ノート』(技術評論社・2013)、『山の神々 』(株式会社 エイアンドエフ・2019)等。芸術家として、山形ビエンナーレ(2014、2016)、瀬戸内国際芸術祭(2016)、札幌モエレ沼公園ガラスのピラミッドギャラリー『ホーリーマウンテンズ展』(2016)、石巻リボーンアート・フェス(2020、2021)、奥大和MINDTRAIL(2021)等に参加。
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