カルチャー

私的にいいとこ、詩的なところ。Vol.19/五十嵐酒造の蔵祭り

2024年5月24日

photo: Keisuke Fukamizu
text: Ryusuke Kurokawa
edit: Toromatsu

タイムスリップしたか国境を越えたか
そのどちらかのような風情
林業の町だったここに明治時代に飛び入った
五十嵐酒造
消えてしまうにはあまりにも惜しい舌ざわり
蔵祭り
人に教えてしまうには惜しい郷愁
平和も過ぎるとおそろしく
魅力は規範からも自由からも生まれない

受付に待ち構えていた釣り人だったはずの西園さんは
日本酒の蔵開きであるのにアメリカのクラフトビール
シエラネバダのキャップを被り酒を振る舞っていた
去年アメリカはチコにあるシエラネバダに自分行きましたよ
思わず縁を感じて私事なる言葉を放ったが
西園さんの釣り針にはかかることなく流された
純度が高い瞳
映すべきものだけが映るような瞳
この目をした人にしか開けられない扉がこの世にはある

人の目も自分の目も気にせずに
やっていることが自分にはあるか

インフォメーション

五十嵐酒造

当連載Vol.15の取材時に訪れた河川敷で偶然出会った釣り人(生業はお酒のフリーコーディネーター)に招待していただき、埼玉県飯生市にある酒造の蔵祭りへ。奥武蔵の銘酒「天覧山」や、原酒直汲みによる気鋭の「五十嵐」などを飲みに、老若男女が訪れていた。ライブやフードトラックなどもあるが、フェスというよりは祭り。美しい自然の川側で各々が楽しむ姿に日本の原風景が残されていた。

◯埼玉県飯能市大字川寺667-1

Official Website
https://www.tenranzan.jp/