ファッション
雑居ビルで、ワインをゆっくり味わいたい。
スタイリスト・長谷川昭雄と考える、2024年のシティライフ。
2024年4月28日

ぼくと服と東京の暮らし。
photo: Seishi Shirakawa
direction, styling & text: Akio Hasegawa
text (dialogue): Neo Iida
edit: Shigeru Nakagawa
2024年5月 925号初出

日本が世界に誇るダンスミュージックレーベル「ミュール ミュージック」を主宰する河崎俊哉さんがオープンした、渋谷と富ヶ谷の間にある、ワインバー。自身が20年かけてコレクションした2000本のストックを惜しみなく提供する。お店の空間設計は古くから付き合いのある「ケース・リアル」の二俣公一さん。ほとんどお任せだったというが、唯一のリクエストは石のカウンター。「木のカウンターのほっこりした感じが苦手で」と河崎さん。角がキリッと立った御影石のカウンターでいただくワインは格別で、いつもよりシャープな感性で味わえる。
純金キヘイブレスレット(6面カットダブル18㎝)¥133,000(ギンザタナカ☎0120·556·826)
――これは、なんという素材なんですか?
河崎俊哉(『スタジオ ミュール』店主。以下 河崎) 御影石です。花崗岩の一種ですね。僕はウッドのほっこりした感じが苦手で、カウンターは石にしようと決めていました。内装を手掛けたのは、長年付き合いのある二俣公一さん。〝北欧っぽく〟とか〝ブルックリンっぽく〟など、〝〇〇っぽく〟はならないようにとお願いしました。
長谷川昭雄(以下 長谷川) ワイングラスが映えますね。レコードの数もすごいです。
――河崎さん、ダンスミュージックを扱うレーベル「ミュール ミュージック」を主宰されていますもんね。
河崎 はい。家にはレコードもワインもまだまだあります(笑)。このバーでは、ワインもレコードも「人とは違うこと、人が知らないものを提供したい」という気持ちで揃えています。
長谷川 オーディオもかっこいいですね。

スタジオ ミュールのオリジナルTシャツ
好きな店のTシャツがあったら、買って帰りたい。バンドTを買いたくなる心理と同じ。Tシャツは、服なようで服ではなく、その店への愛を、物に置き換えて持ち帰りたいのだ。洋服店が作ることのできない価値が、そこにはある。「ミュール ミュージック」のアートワークを多く手掛けるステファン・マルクスによるドローイングがあしらわれた『スタジオ ミュール』のマーチャンダイズ。ロングスリーブTシャツ¥7,480(スタジオ ミュール @studiomule)
河崎 アメリカの〈クリプシュ〉のコーンウォールや、スイスの〈トーレンス〉のターンテーブルなどを入れています。結構、若いお客さんが頑張って来てくれるので、決して安くない一杯をゆったり楽しんでほしくて。特に音の解像度ですね。解像度が高ければ、会話の妨げにならないんですよ。
長谷川 へえ、面白いですね。ワインはどれくらいお持ちなんですか?
河崎 若い頃からずっと集め続けていて、ものによっては寝かせています。家にはストックが2000本くらいでしょうか。
長谷川 そんなに!
河崎 もともと原宿にあった『n°44』に勤めていて、仕事終わりにはいつも竹下口にあった『オーバカナル』でワインを飲んでいたので、若い頃からワインは身近な飲み物でした。この10年くらいはナチュラルワインをガブガブ飲むんじゃなく、いいものをじっくり飲むほうがいい、というところに辿り着きました。ワインによっては熟成するものもたくさんあるんです。
長谷川 この前、学大の『野崎商店』で買った少し古いワインを4~5日かけてちょびちょび飲んでるんですけど、そういうのを飲む楽しさってありますね。

ザ・ロウのセットアップ
カッコいい店に行くのなら、たまにはカッコつけて出かけたい。そんなときは、セットアップが最高だ。上下揃いで買えば、デザイナーのクリエイションをそのまま享受できる。それに、素人が、服のことをあれこれ無駄に考える時間を少なくすることができるからだ。前見開きとは打って変わって、これはバージンウール100%のクラシックな生地のジャケットとパンツ。ウールは天然の機能素材。吸湿速乾性があり、多少の雨ならはじき、夏は涼しく、冬は暖かく温度コントロールをしてくれる。シルエットはタイトフィットにはせず、あえてゆとりを持たせている。柔らかく、肌触りの滑らかなハボタイシルクの総裏地仕立てで、着心地は最高なのは言うまでもない。シルクは、夏には放湿性を発揮して熱を外に逃し、冬には冷気を遮断するという、これもまた天然の機能素材。中に着ている開襟シャツは、木の繊維に似た絹糸を染め上げた、平織りのシルク生地。コンパクトな表面と均一な風合いが、滑らかな手触りと軽やかな着心地を与えてくれる。こちらもボックスシルエットで、リラックスしたフィット感を楽しめる一枚。バージンウールのオーバーサイズドジャケット¥658,900、シルクの開襟シャツ¥218,900、オーガニックコットンジャージのショートスリーブTシャツ¥97,900、バージンウールのパンツ¥328,900(すべてザ・ロウ/ザ・ロウ・ジャパン☎03·4400·2656) スニーカー「VM001」¥14,300(ラストリゾート AB/ディアゲスト☎03·6452·6855)
河崎 そうですね。香りはもちろん味も一緒に楽しんでほしくて、ワイングラスは飲み口が広いものから狭いものまでワインに合わせて選んでいます。ワインの香りはグラスの形状に沿っていったん膨らんで飲み口に向けて集約されるから、ボリュームがあると香りも広がるんですよ。
長谷川 そういうことも知っておくと、ワインの楽しみ方が広がりますね。
――この雰囲気のお店にちょっと大人っぽい気分で出かけるなら、長谷川さんがおすすめする服はセットアップですか?
長谷川 こういう素敵な場所だったら、たまには綺麗な服装をしたいから、そんなんで来てみたいね。ちょっといいスーツとか、セットアップとか。僕は基本なんでも上下セットで買うから、バラバラで買うことはあまりなくて(笑)。そのほうがコーディネートを考えないでいいし、まあ学生服みたいなことだよね?
――学ランみたいな。
長谷川 そうそう。さらに、どの程度大人っぽくしたいかは中に着るもので変えられる。タートルネックでもいいし、シャツにネクタイだっていい。セットアップにはそういう自由な魅力があるんだよ。
――薄いブラウンとか薄いブルーとか、春っぽい色なら、カジュアルさも残っていて、『スタジオ ミュール』のような場所に程よく合いそうです。
河崎 納得のいくワインを、納得のいく音と内装でお届けしたいなと思って、お店を開けています。富ヶ谷の雑居ビルのなかにぽんと綺麗な空間がある、そのギャップも楽しいと思いますよ。
――デートにも良さそうですね!
長谷川 ほんまやなあ。そう思うわ。
インフォメーション
スタジオ ミュール
◯東京都渋谷区神山町16-4 3F ☎なし 17:00~24:00 日休、不定休あり 営業情報はInstagramを参照。
Instagram
https://www.instagram.com/studiomule/
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