フード

海外の友人を連れて行きたい昭和の店。/W・デイヴィッド・マークス

東京暮らしの123!

2024年4月24日

ぼくと服と東京の暮らし。


photo: Yutaro Tagawa
text: Keisuke Kagiwada
2024年5月 925号初出

“Old meets New”って言葉を聞いたことがありますか? 最近、東京都が観光客向けに掲げているキャッチコピーです。初来日した人は浅草寺と同時に秋葉原を訪れるのが定番ですから、間違ってはないんでしょう。だけど、歴史の教科書に載るほど古くもなければ最先端でもない、昭和の薫りが色濃く漂う店がまだたくさん残っていることにこそ、東京の魅力があると僕は思います。特に喫茶店や洋食屋は、もとを辿れば欧米文化にルーツがあるから、アメリカやヨーロッパの人であればその日本独自の進化に驚くという楽しみもある。なかにはSNSで話題になり、行列の絶えないところもあるので、今回はまだそこまで観光客に知られてないお店を紹介したいと思います。

1. サントリーラウンジ イーグル
@新宿

 近年、ジャパニーズウイスキーが海外でものすごい人気を集めている。だからこそ、サントリーのウイスキーがフルラインナップで揃い、かつ他より安価で飲める『イーグル』は、「僕にとって“サントリー大使館”」だと表現。「しかも、壁が石だったり、シャンデリアがあったり、建築がとても豪華。こんなバーはアメリカにはありません」。おつまみは、特製味噌につけて食べるスタイルがここ発祥の野菜スティック(¥935)を。

インフォメーション

海外の友人を連れて行きたい昭和の店。/W・デイヴィッド・マークス

サントリーラウンジ イーグル

’66年創業のサントリーのモデル店。山崎12年のロック¥1,980

◯新宿区新宿3-24-11 B1・2 ☎03·3354·7700 17:00〜23:30 月休、不定休あり

2. 珈琲専門店 エース
@神田

のりトースト¥220

「個人経営の古い喫茶店って興味はあるけど、観光客にはハードルが高いところも少なくないんですよ。そんな中、インテリアがポップな『エース』は入りやすいし、コーヒーも美味しい」とデーヴィッドさん。のり弁からヒントを得たという名物のりトーストについても、「アメリカじゃあり得ない組み合わせですが、一緒に行った海外の友達も『意外に合うね!』と喜んでました」とのこと。コーヒー「ゴールデンキャメル」¥530

インフォメーション

海外の友人を連れて行きたい昭和の店。/W・デイヴィッド・マークス

珈琲専門店 エース

昭和46年に創業。常時50種類近くのコーヒーが賞味できる。

◯千代田区内神田3-10-6 ☎03·3256·3941 7:00〜18:00、土〜14:00 日・月・祝休

3. 銀座スイス
@銀座

ハンバーグステーキ¥1,760

 東京に数ある洋食屋の中でも『銀座スイス』を選んだのは、「’60年代、みゆき族が『テイジンメンズショップ』で〈VAN〉を買った後、ランチをしていた店だから」。デーヴィッドさんはハンバーグステーキなんかをよく食べるそう。「ハンバーガーは欧米文化ですが、ハンバーグは日本独自のもので、アメリカじゃ和食レストランでしか食べられないんです」。帰りは銀座牛カツサンド(¥2,052)をテイクアウトするのもお忘れなく。

インフォメーション

海外の友人を連れて行きたい昭和の店。/W・デイヴィッド・マークス

銀座スイス

終戦直後の昭和22年創業。カツカレー発祥の店として知られる。

◯中央区銀座3-4-4 大倉別館2F ☎03·3563·3206 11:00〜21:00 年末年始休

プロフィール

海外の友人を連れて行きたい昭和の店。/W・デイヴィッド・マークス

W. David Marx

文筆家

W・デーヴィッド・マークス|1978年、アメリカ・オクラホマ州生まれ。フロリダ州育ち。文筆家。2015年に日本の洋服文化史『AMETORA 日本がアメリカンスタイルを救った物語』がアメリカで出版され、’17年に日本語版を刊行。今年、新著『ステータスと文化』の日本語版が筑摩書房から刊行予定。