フード

お昼どき混雑必至エリアで知っておきたいお弁当屋『太陽傘(パラソル)』。

東京五十音散策 恵比寿①

2024年1月18日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Eri Machida
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどをぶらりと周っていく企画「東京五十音散策」がスタート。「え」は恵比寿に。

宇宙べんとう

 お腹が空いているときにどの飲食店も混んでいるとついカリカリしちゃうけれど、お弁当屋さんとその近くの公園を知っていれば、そんな状況を簡単に回避できる。特にお店が満席になりがちな恵比寿で押さえておきたいのが今回訪れた『太陽傘(パラソル)』。

 平日は休まず営業しており、メニューは日替わり1種類のみで「宇宙べんとう」という。この日はむかごご飯の上にメインのシュウマイ4つと麻婆豆腐が乗った「チャイナカップル」。そのほかにコールスロー、ちくわの磯辺揚げ、キャベツ炒め、煮た柚子とりんご、季節のフルーツとして柿が入っており、蓋を閉めるのが困難なほどおかずがてんこ盛り。満足間違いなし。

 きれいにまとまったお弁当は好みじゃない、と話す店主・野木早苗さんのインスピレーションの源は、御殿場で旅館を経営していた祖母が作ってくれた料理。近くに米軍基地があったことからハンバーグやコロッケなど洋風なものもよく作り、来客の際にはたくさんの餃子を包む、そんな家族の背中を見て育ったから、家庭的でありながらも毎日お祭りのような遊び心があって、栄養バランスや見た目だけを重視したお弁当からは得られないパワーがある。

 恵比寿、広尾、渋谷、どの駅からも少し時間がかかるここは人通りが多くなく、近くには昔ながらの魚屋さんや、渋谷最古の神社もあったり、ゆったりとして落ち着いた空気なのも良い。そんな街によく似合う『太陽傘』の愛情がぎゅうぎゅうに詰まった「宇宙べんとう」を頬張るとお腹はもちろん心まで満たされる。食べ終わったときには“頑張って”と野木さんから背中を押してもらえたような気持ちになって、1日の後半戦にも気合が入るのだ。

インフォメーション

店内に飾られている写真

太陽傘(パラソル)

2015年から南青山で定食やお弁当を提供する『喫茶クレッセント』の営業を始め、2019年に現在の場所に移転。店内に飾られている写真のように場所を借りずに傘一本で営業したいという思いが元々あり、そんなお店がたくさんあるシンガポールでは、パラソルを「太陽傘」と呼んでいることを旅行中に知り、店名にした。恵比寿駅から歩いて15分ほどかかるので、バスを利用するのも、歩いてお腹をすかせてから食べるのもいい。

◯東京都渋谷区東4-11-4 11:30〜15:00 土、日休

Instagram
https://www.instagram.com/parasol_taiyougasa/