カルチャー

スケートボードのキホンのキ。

教えてくれたのは『リバーバーチ』店主・吉田智さん

2023年8月20日

スケートが教えてくれること。


illustration: Hitoshi Kuroki
text: Ryota Mukai
2023年9月 917号初出

最初のスケボーをどう選ぶか?
そのキホンを『リバーバーチ』の店主・吉田智さんに教えてもらった。

「大前提として、トリックをしたいのか、クルーザーとして使いたいのかは考えておくといいですよ。前者なら身長や足のサイズに合わせたデッキサイズでハードウィールを、後者なら大きめの安定感あるデッキでソフトを、と大まかなイメージができるんです」と吉田さん。なるほど、とは思うが、正直まずはただ滑ってみたい。いずれはトリックも、なんて邪道だろうか……とモジモジしていると、「いいじゃないですか!」という。「ソフトは音も比較的静かなので、場所を選べば近所でトリックの練習もできる。実際そうやって始める人も少なくありません」。そんな手があったとは! 方向性が決まったところで、早速各パーツ選びへ。

スケートボード パーツ イラスト
①Deck
足を乗せる板のこと。セレクトの基準は、長さ、幅、両端の形状、裏面のデザイン等。悩ましいのは幅。主な候補は7.5から8.5インチ。狭いほど軽量でトリックを決めやすい。広いほど重くなるが安定性は上。10,000円から15,000円程度。
②Truck
デッキとウィールを繋ぐパーツ。デッキによって幅が決まり、あとは高さ、重さ、デザイン等で選択。主なブランドは老舗の〈インディペンデント〉〈サンダー〉〈ベンチャー〉、近年注目の〈エース〉など。最も交換が少ない部品。10,000円程度。
③Wheel
車輪のこと。クルーズ用ならソフト、トリックを決めたいならハードタイプ。それぞれ硬さも選べるが、それは滑り慣れてから検討を。むしろポイントは口径。大きいほどスピードは出るがトリックはしにくい。4つセットで7,000円程度。
④Bearing
トラックとウィールの間に装着するパーツ。内蔵された金属ボールが摩擦を軽減し、ウィールの回転を助ける。価格はピンキリだが、安いほど壊れやすく、その差が性能に如実に表れる。4,000円程度のものを手に入れよう。
⑤Screw
トラックをデッキに固定するためのパーツ(ビス)。規格が決まっているので、カラーやブランドを参考にする程度。デッキの前後をわかりやすくするため、前の2本だけ色を変えることも。『リバーバーチ』では無料。1,000円もせずに買える。
⑥Decktape
滑り止めのためにデッキの表面に貼るテープ。ビス同様、デッキの前後がわかるよう部分的にカットして貼り付けることもある。黒無地のシンプルなものであれば、『リバーバーチ』では無料。購入が必要な場合でも1,000円程度。

 まずはデッキ。「面積が大きければ重くなり、その分安定しやすくなります。’90年代には前後が細くて軽いものが多かったけど、近年は両端ともにある程度太いものがスタンダードですね」と聞き、形状は決定。幅も安定を求めて太めの8・25インチに。あとは裏面のデザインだけど、なかなか悩ましい。そんなとき「デッキって消耗品で、削れて早いとひと月で2枚目を買う人もいますよ」と吉田さん。この言葉で踏ん切りがつき、続くトラックはデッキのインチに合ったものをサクッとセレクト。そして、ウィールへ。ポイントは口径だ。「ハードは52から56㎜、ソフトは56から65㎜くらいが主なサイズ。ソフトはクルージングを想定しているので、ワンプッシュでより進むように大きく。一方でハードはトリック想定。デッキと地面が近いほどやりやすいから、口径は小さめに。いずれソフトからハードに替えるなら、同じ口径にできるよう小さめを選んでおくのがいいですよ」。かくしてソフトにしては小さめの54㎜に落ち着いた。ベアリング、ビス、デッキテープも揃えて、組み立てへ。ものの15分程度で仕上げてくれた。『リバーバーチ』では必須の、インストラクターでもある吉田さんのスケート講座もパスして、いざストリートへ!

ボードを手に入れたら……。

thrashermagazine.com
Thrasher
「初めてスケボーに乗る、という人にこそビデオを見てほしい。モチベーションも上がるはず」と、教えてくれたのは『スラッシャー』のHP。クラシックなものから最近よく見られているものまで、18カテゴリーに分類された映像が大量にアップされている。

教えてくれた人

吉田智 似顔絵

吉田 智

よしだ・さとる|1981年、東京都生まれ。『RIVERBIRCH SKATESHOP』店主。スケートショップキャリアは10年以上。ファミリーやローカルが共演するSKATE DVDを制作中。