カルチャー
6月はこんな本を読もうかな。
迫り来る梅雨の面倒臭さを忘れさせてくれる4冊。
2023年6月1日
text: Keisuke Kagiwada
『ヒート 2』
マイケル・マン、メグ・ガーディナー(著) 熊谷千寿 (訳)

本屋で表紙を見たときは、目を疑った。「え、あの『ヒート』に2が!?』って。説明しよう、『ヒート』とは、名優のアル・パチーノとロバート・デ・ニーロが共演した、1995年のクライムアクション映画の傑作だ。その続編が、しかも小説で、監督自身の手により令和に登場したってんだから、これは事件でしょ。ハードボイルドな筆致で描かれるのは、映画『ヒート』の生き残りクリスを軸に浮かび上がる、各登場人物たちの過去。これは映画化を期待せざるをえない。¥1,590/ハーパーコリンズ・ジャパン
『町山智浩のアメリカスーパーヒーロー映画 徹底解剖 』
町山智浩 (著)

現代日本を代表する映画評論家こと町山さんが、スーパーヒーロー映画にフォーカスした一冊を満を持してリリース。いつも通り、監督の人となりを綿密に調査した上で、それがどう作品に影響を与えているのかが解説され、非常に勉強になる。とりわけ町山さん自身もっとも思い入れがあると思しき、ジェームズ・ガンに関する2つの論考は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』を考察する上でも必読。¥1,760/イースト・プレス
『弔い・生殖・病いの哲学 ― 小泉義之前期哲学集成』
小泉義之 (著)

誰もが一度は考えたことがあるんじゃないだろうか、「生とは? 病とは? 死とは?」と。だけど、自分1人じゃ手応えのある答えが得られそうにない。そんなとき、よき導き手になってくれるのが哲学、いや、この1冊。著者が過去に出版した4冊を1冊にまとめ、かつ新論考を含むこちら、エクストリームすぎてびっくりする意見も書かれているかもしれないが、じっくりと読み込めば、リミットで思考しなきゃ見えてこないこともあるんだと気づけるはず。¥3,960/月曜社
『パチンコ(上)』
金山寿甲 (著)

まず最初に断っておくと、オバマ元大統領が「2019年のフェイバリット・ブックス」の1冊に選んだ、ミン・ジン・リーの同名小説とはなんの関係もない。こちらは、パチンコ屋を家業とする在日コリアン三世の日常を通して、現代社会に渦巻く問題に肉薄した第67回岸田國士賞受賞作を含む、戯曲集だ。「戯曲を読む」と聞くとハードルが高いと思うかもしれないが、安心してほしい。ほぼすべてのセリフが、ラップで書かれているんだから。そこには、まったく新しい読書体験が待ち受けている! 白水社/¥2,420
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