カルチャー
11月はこんな本を読もうかな。
「知的刺激が足りてないなぁ」ってときに読みたい4冊。
2022年11月1日
text: Keisuke Kagiwada
『黒人音楽史 奇想の宇宙』
後藤護(著)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/11/e3d797a70d1044d3532b1c35f505fc78-1600x2332.jpg)
新世代の知の巨人による新著のテーマは、タイトルからもわかるように黒人音楽の歴史。奴隷制時代から現代に至るまでのその精神史を、お馴染みの博識を通して描出しているのだが、知らない固有名詞の波状攻撃に嬉しくなる。と同時に、黒人差別への抵抗は、音楽を通して表現されてきたのだということもよくわかる。必読。¥2,750/中央公論新社
『もっと遠くへ行こう。』
イアン・リード(著)、坂本あおい(訳)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/11/d6a869a25af7194dd452fdd53f9256d0.jpg)
『エターナル・サンシャイン』のチャーリー・カウフマンによって映画化もされた『もう終わりにしよう。』の著者の新作。人里離れた農場に暮らす夫婦のもとに、ある日知らせが届く。なんでも夫が宇宙で行われるあるプロジェクトの候補者に、抽選で選ばれたという。かくして幕を開けるのは、『もう終わりにしよう。』とも通じるジャンル無用の思弁的な物語だ。読めば読むほど味が出る、スルメのような1冊。¥1,518/早川書房
『ゾンビと資本主義―主体/ネオリベ/人種/ジェンダーを超えて』
遠藤徹(著)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/11/92b7427885ec8a8d3222882272e0dd55.jpg)
ホラー映画でお馴染みのゾンビは、黒人の民間信仰を源流とし、19世紀にハイチのヴードゥー教の「生ける屍」となった。その得体の知れなさから、あらゆる社会問題の隠喩として描かれてきたゾンビの表象が担う意味を、現代思想を駆使してあぶり出す知的スリルに溢れた1冊。読後はきっと、これまでただ楽しんでいただけのゾンビ映画を観る目が変わってしまうに違いない。
『新・日本懐かし自販機大全』
魚谷祐介(著)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/11/7b52965e6689aa6a955e8ed075cfb141.jpg)
先日、名古屋を旅していたら、なんでもないコインパーキングにチリソースの自販機があってびっくり仰天した。コインパーキングに車を駐めて、「あ、チリソース買わなきゃ」って思う人は果たしているのだろうか……。しかし、本書が紹介する自販機はチリソースどころではない。みそ汁、かき氷、カレーライスなどなど、破天荒すぎる自販機が数々登場する。いやはや、やっぱり日本は不思議の国なんだなぁ。¥1,540/辰巳出版
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