カルチャー
TIME TRIP TO 1976.
君も、1976年に旅してみないか?
2022年7月27日
photo: Kazufumi Shimoyashiki
text: Toromatsu
2018年8月 856号初出
ある日、懐かし過ぎる風貌のサーフボーイと出会った。
彼は、日本のサーファーが最も輝いた時代からやってきたという。


上の写真はお父さんの昔の写真、ではなくて僕、トロピカル松村の2018年7月の姿です。30歳の僕がなぜこんな風貌かというと、それは僕がいま、1976年を生きているから。昔の写真だと思った君はいい目をしている、その通りだ。アイビー文化に親しんでいたシティボーイが、憧れの対象を西海岸のウェイ・オブ・ライフに向け始めたのが他でもなくこの年なのだ。『ポパイ』はもちろん、日本初のサーフィン雑誌『サーフィンワールド』や『サーフマガジン』も創刊されたりと、日本のサーフボーイの生まれ年とも言える時代。あの有名なサーフィン映画『ビッグ・ウェンズデー』が公開される2年も前の話である。

街から海へ向かい、サーフィンをして、夜はセンタープリーツのしっかり入ったディナージーンズでディスコへ飛び込む。僕は、そんな当時のスタイルや遊び方が、カリフォルニアを抑えて一番カッコイイと思っている。だから、せっかくサーフィンに興味を持っているならば、君もタイムトラベルしてみないか! ん、超怪しい? じゃあもう少しだけ。

スウェット? 否、トレーナーと呼ぶ。袖をカットオフすれば合格。中に着たポロシャツの襟を出して満点。スキッパーと呼ばれる襟付きトレーナーも流通したんだ。

ポロシャツといえば無論〈ラコステ〉。アイゾッドがお約束。フレンチラコとの大きな違いは前後で裾の長さが異なるドロップテール、そしてトレードマークのワニ君がブルーであること。とても長い後ろの裾をタックアウトし、アメリカ製をアピール。“モノこだわり人間”(『ポパイ』1978年増刊「サーフボーイ」より)の着こなし。

ダイバーズウォッチは〈セイコー〉が人気一本かぶりだったが、シティ派を強調するならば“青学系”。〈ホイヤー〉にウォッチプロテクターを付けるのがオツ。

当時はヘビーデューティ全盛期。バックパックをこれでもかというくらい背中の高い位置で背負い、腰への負担を軽減。ワイルドなサーフトリップを想定しておこう。



旧車や軽バンなどに見られるレインガーター付きの車には、復刻されているアロハキャリアがおすすめ。サーフボードはケースに入れず、どんどん見せびらかす。

胸板は厚いほどカッコイイが、ゴムぞうりのソールは薄いほど良い。「通ってるなぁ」感が出る。〈レインボー〉社のサンダルなどソールが7層のレインボーデザインを購入し、海に通い倒して虹をかける風習もあったのだ。

あれから40年以上の歳月が経ったが、サーフィンの根本的なスタイルは何ひとつ変わっていない。サーフボードを抱え、早朝に海へ向かい、沖に出て波に乗る。もちろん高性能なサーフボードも開発されているが、よほどのコンペティション志向なサーファーでない限り、選んでいるサーフボードもさほど大差はない。それどころか、あの頃スタンダードだったシングルフィンを近年メインボードにしているサーファーも多いんだ。僕らの好きなクルマだって、だいたいはヴィンテージカーじゃないか? 温故知新ではなく、今再び新しいと思えるのが、1976年のサーフスタイル。そう考えてみると、僕が言っていることが少しは分かってもらえるかい? もう一度言う。君も、1976年に旅してみないか?

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