ライフスタイル
【#4】WE ARE TRAFFIC!
2022年5月1日
photo & text: Izuru Shimasaki
photo: Tappei Yoshida / tetanurae.jp
edit: Yukako Kazuno
軽いギアは踏まない、ダンシングするときは自転車を左右に振らない、しんどくてもフォームは崩さない、手信号や後方確認時は動きをゆっくりと大きくする。体を大きく見せるためにご飯をちゃんと食べ、背筋を鍛える。これらはメッセンジャーとしてクルマと同等に走り、煽られないように身につけた技術。好きなロードレーサーはダン・マーティンだが理想とするライディングスタイルはトニ・マルティン。全方向に存在感を放つのだ。

その技術を持って車と対峙することで得られるメッセンジャーの特権が ”街を自分らしく走ること” だと思っていたが、いや違う、メッセンジャーだけのものではない、と思い始めたのは仲間がCMWC(メッセンジャーの世界戦)で撮ってきてくれた映像で見たクリティカルマスからだった。

クリティカルマスとは1992年のサンフランシスコで始まった市民運動。自転車乗りが街なかを集団走行することで車社会に対する自転車の権利向上、走行環境の整備などを訴える。現在世界中の都市で毎月最終金曜日の夜に行われている。

ちょっとした訓練で乗れる自転車は多くの人にとって自由を感じる事ができる乗り物。仕事でミスったり、親に怒られたり、どうにもうまくいかなかったりするときでもペダルを踏んで漕ぎ出せば自由を感じられるし、足が回りだしたそのリズムに合わせて頭の中はダイナモのように回り始め、思考に光を灯す。クリティカルマスは年齢も性別も国籍も問わない自転車という乗り物で多くの人が(メッセンジャーのように車と対峙することなく)自由を感じることができる街を求めている。より多くの人がペダルを踏めばみんなの頭の中で灯った光は大きくなり、街を、社会を明るく照らし出すだろう。ハンガリーの首都ブダペストは自転車の権利が近年拡大し続けているが、最大で8万人を集める当地のクリティカルマスでスケボーに乗った地元の少年に言われた。
『君の街にはクリティカルマスがないのかい?』

あなたがもし自転車の持つ自由を知っていて誰かに伝えたい、今は知らないけど知りたい、と思うなら是非クリティカルマスに参加してみてほしい。自転車がなくても誰かが貸してくれるかもしれない。シェアサイクルでもいい。今は札幌、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、宮崎で開催されている。海外に行っても最終金曜日のクリティカルマスをチェックしてみてほしい。今は車に支配されている街を、世界中の人たちが自分たちの手に取り戻そうとするそのうねりを、感じてみてほしい。


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嶋崎出
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