TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
LIFESTYLE

【#1】BIKE MESSENGER IS OUR ARTFORM

2022.04.10(Sun)


text & photo: Izuru Shimasaki
photo: Motoya Sanui
edit: Yukako Kazuno

 2005年のメッセンジャーイベント、Kyoto LOCOのTシャツにはシルバーのインクでそうプリントしてある。バイクメッセンジャーはぼくらの表現手法だ。今でもそう思っている。ぼくらはミュージシャンが音楽を演奏したり、アーティストが絵を描くのと同じように、メッセンジャーバッグを担いで街を走る。「街をそれが作られた目的と違う形で使うこと」スケートボードのフィルマーでもあった映画監督のスパイク・ジョーンズがスケートについて語った言葉はメッセンジャーにもよく当てはまる。クルマのために整備された街を、競輪やロードレースといった競技のために作られたピストやロードバイクに跨って走り抜ける。バイクメッセンジャーは街にとっても自転車にとってもオルタナティブな存在だ。

 だいたいにおいて自転車で瞬間的に走り去ってしまうので街を行く人の目に触れることはあまりないバイクメッセンジャーだが、上に書いたKyoto LOCOのようなメッセンジャーイベントには多くのメッセンジャーが集い、レースで速さを競ったり、再会を喜んだりして自分たちのコミュニティを祝福する。昨年Fukuoka LOCOが開催され、しばらく途絶えていた国内の大きなイベントが再開した。そして今年は5月27日からOsaka LOCOが、さらに2023年には世界大会であるCMWC (Cycle Messenger World Championship) が横浜で開催される。日本でのCMWCは2009年の東京以来だ。メッセンジャーの世界はコミュニティというよりファミリーやネイションという言葉の方がしっくりくるぐらい自治の力が強い。世界中からメッセンジャーが集まるCMWCは馬鹿騒ぎと同時に自分たちの世界を正しい方向に持って行こうとする力を感じる最高のイベントだ。

 パンデミックにより2019年のジャカルタ以来途絶えていたCMWCは今年、急遽ニューヨークで開催されることとなった。ニューヨークはメッセンジャーが職業としてもライフスタイルとしても大きく発展した街だ。南北20km、東西4kmのマンハッタンはメッセンジャーのためにあるような島、ぼくは2006年の短い間そこでメッセンジャーをしていた。止まらないオーダー、日本の街より歴史を感じるビル群、そこに生きる人たち。ニューヨークで体験したいくつかの物事は現在名古屋に生きる自分のメッセンジャースタイルの元になっている。次回はその話をしたいと思う。

プロフィール

嶋崎出

しまさき・いずる | 変わった名前なのでメッセンジャーネームもイズル。デイジーメッセンジャー代表。30歳までの腰掛のつもりで始めたメッセンジャーを46歳の今もやっています。シルクスクリーンプリンターでもあり趣味のバンドではオルガン担当。2児の父。富山県出身。

Official Website
http://daisy-messenger.com
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