ライフスタイル

【#1】武蔵小山にあった桜の木

2022年4月13日

text & photo: Yoma Mori
edit: Yukako Kazuno

ペット・サウンズ・レコードは、東京・武蔵小山にある〈街のCD・レコード店〉です。
その武蔵小山駅前に、桜の木が昔ありました。ソメイヨシノと八重桜、春になると順番に咲いて、ささやかな情緒を感じさせてくれました。

武蔵小山にあった桜の木
2004年撮影。武蔵小山駅前の桜の木

当店は2022年4月で41周年を迎えますが、このように営業を続けていられるのは、この桜の木のおかげ、と私は思っています。2005年駅地下化と再開発に伴って、当店は移転先が決まらないまま立ち退きを迫られていました。この桜の木も区によって伐採される予定でした。

PET SOUNDS RECORD旧店舗
当店の旧店舗

しかしながら、それを知った方々がご意見や抗議の声を区へ届けたことによって、桜の木は伐採ではなく移植が決定。それと時を同じくして、当店も現在の場所へ移転することができたのです。

では、武蔵小山駅前にあった桜の木は、どこへ移植されたのか?

移植当日、造園業者が来て驚きました。移植先は千葉の土気(トケと読みます)。偶然ですが、土気には私の親戚が住んでおり、祖父の墓があるのです。

桜の木
土気へ移植された桜の木

桜の木は現在、色々な縁のおかげで、土気にある本寿寺の入り口へ再移植されました。古い木ながら、再移植にも耐えて、素敵な花を今でも咲かせています。

「ぼくは炎もくぐりぬけてきたし、雨にもうたれてきた。<中略>でもいつだって、きみとはまた出逢えると思っていたんだ。」(James Taylor「Fire And Rain」歌詞の一節より)

桜の名所はたくさんありますが、僕にとって一番のお花見は、この土気の桜です。毎年、大好きなジェイムス・テイラーの歌を聴きながら、土気へ訪れ、この桜の木と再会することが、心の拠り所になっています。
PET SOUNDS RECORD 森陽馬 

ジェイムス・テイラーの『sweet baby james』

プロフィール

PET SOUNDS RECORD

東京・武蔵小山駅前にて1981年から営業を続けている古き良き街のCD・レコード店、ペット・サウンズ・レコード。年中無休。HPの「今日のこの1曲」コーナーでは、店内でその日にかけたオススメの1曲を毎日紹介しています。

◯東京都品川区小山3-27-3 ☎︎03-3787-0818

Official Website
http://www.petsounds.co.jp