カルチャー

【#4】また来るクリスマスを待ち望んで。

2021年12月31日

今年もクリスマスが終わった。

思えば毎年1月に開催されるドイツの見本市が中止になったところからのスタートだった。20年以上欠かさずに見本市へ行き、輸入とオリジナルオーナメントの製作をしていたので不安もあった。遅れはあったが11月までには、準備してきた商品の大部分が入荷し、無事に店頭で商品を紹介する事ができた。

去年から自宅で親しい人とゆっくり過ごすという人が増え、「おうちクリスマス」という言葉もよく聞いた。クリスマスカンパニーが誕生して36年経つが、二十数年前から、オーナメントを選ぶのに迷っている様子のお客さまに「少しずつ集めてくださいね」と言葉をかけている。それが、作り上げていく喜びと思い出が詰まったクリスマスツリーになると考えているからだ。最近、その言葉が浸透してきているのを実感できることが増えた。

もともとお客さまとの会話が多いお店なのだが、この2年間は、声をかけてくれる方が多くなった。毎年、必ず来店してくれるファミリー達との会話の中に「結婚した年にツリーを買った」ことや「この子が生まれた年から来て、今年で何年生になった」など、家族の物語の中にクリスマスが見える。今年、とても印象的な会話をしたお客さまは「大病して、生還したんだ。その年からミニサイズの煙出し人形を集めているんだ。今年も元気にここに来て、今年で6個集まった」と、言った。

集める喜びと、人生の喜びが重なった素敵な話だった。そしてそのコレクションアイテムを購入する場所に選んで頂けた事が嬉しかった。「クリスマスカンパニーも頑張るので、一緒に頑張りましょう」そう伝えた。

そして、このタウントークに寄稿する時期と同時期に創業時代の代官山の話をするお客さまも多くいた。

「今年も開いていて安心したよ」

「ここは変わらないねー」

「ずっとお店を続けて欲しい」

という声を、このコロナ禍で本当に多く頂いた。「喜び」や「楽しみ」がなかなか見つけにくい1年だったかもしれないが、ほんのひとときでも何かを感じる場所であったなら、クリスマス屋冥利に尽きる。

変わっていく世の中に適応しながらクリスマス専門店を続けることで、「変わらないもの」としてお店を受け入れてもらった、そんな感じがした。そこにいつもあることに意味がある。維持するのは大変だがこれほど幸せな事はない。今、このコラムを読んでくれている若者が訪れてくれる時に、何かの思い出の場所になれたら…と心から願う。

364日クリスマスイブ。クリスマスは優しい気持ちになる。春も夏も店の扉を開けて、また来るその季節を待ち望んでいる。

プロフィール

クリスマスカンパニー

1985年に日本で初めてのクリスマス専門店としてオープン。「364日クリスマスイブ」をメインコンセプトに代官山で年中、世界中のクリスマスグッズを販売。◎東京都渋谷区猿楽町29-10 ヒルサイドテラスC-13 ☎03-3770-1224 11:0019:00 不定休

HP
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