カルチャー
【#4】私が大好きなアーティストたち
執筆: 関谷元子
2022年1月1日
text: Motoko Sekiya
edit: Yukako Kazuno
2022年、今年こそは、制限なく海外へ出向くそんな年になれば良いと思います。
といいつつ、今これを書いているのは、2021年。
その2021年、毎週日曜日にInterFM897からお送りしている番組「World Music Cruise」をスポンサードしてくださっている荒井商事のお付き合いのある駐日大使館の皆さんにご出演いただくという企画をしました。
お話してくださったのは、ポルトガル、ブラジル、パキスタン、ベルギー、キプロス、台湾でした。ちょうど日本にご不在だったポルトガル以外は大使自らが出演してくださり、その全員から、自国の音楽を愛する気持ちが伝わってきたのが嬉しかったのを思い出します。
自国の特徴、観光地や食べ物などをお聞きするとお話に慣れている感じでしたが、音楽のことになると、また違う魅力が感じられます。
というのも、音楽はやはり個人が感じるものであり、それぞれのかたの想いなどが入ってくるとグっと親しみがわきました。
フランクに楽しそうに音楽を説明してくださる大使を見ていて、同時に、日本からの大使が、海外で、もし音楽を選んでと言われたら、日本の何が選ばれるのかな、と思ったりもしました。
そんなことを思いながら、最終回の今回は、私が今までの長い人生で(笑)大好きになったアーティストをご紹介しようと思います。
なお、台湾のロー・ターヨウ(羅大佑)もその一人なのですが、2回目に紹介したので、今回は他のかたを。
●ヌスラット・ファテ・アリー・ハーン Nusrat Fateh Ali Khan
パキスタンのカッワーリーというイスラムの宗教歌謡のスーパースター。残念ながら、1997年に48歳で亡くなってしまいましたが、何度も来日したので日本にも多くのファンがいました。
私は、ヌスラットの初来日からすべてのコンサートに行き、何度もインタヴューをしました。ある時は、インタヴューがその日の最後だったので、一緒にカレーをごちそうになったりしたのも良い思い出です。
カッワーリー、知らない、というかたも、このヌスラットの声を聴けば、心が震えるのがわかると思います。この声で、ポップ・フィールドでも活躍したのも彼の柔軟な姿勢だったのです。
93年イギリスでのライヴ。6分過ぎくらいからヌスラットがすごいヴォーカルを聴かせます。パーティ(バンドのこと)もヌスラットのリードにエキサイティングなパフォーマンス。
●ウィリー・コローン Willie Colon
キューバ音楽をもとに、ニューヨークの主にプエルトリコ人が作った音楽がサルサです。サルサは、アメリカにおけるラテンの人々のアイデンティティを表現する音楽でした。
そのサルサの重要なアーティストがウィリー・コローンです。ウィリーは、トロンボーン奏者で、かつプロデューサーとして多くの歌手を輩出しました。その一人が、エクトール・ラボーです。この曲、コール&レスポンスでのエクトールのヴォーカルがたまりません。
その後、ウィリーは、歌をうたうようになります。かっこいいライヴを。スウィートです❤
●ジャッキー・チュン 張學友
好きなのはもちろんですが、ジャッキーとは長年の友人でもあります。ですので、香港が生んだ、中華圏で最も敬愛されている歌手として、ご紹介したいと思います。
ジャッキーの前回のツアーは、いかにも香港らしい、豪華なセットでダンサーもたくさんで、これぞ、ショウというものでした。驚くのはその数です。2016年の10月に北京で始まったコンサートは、2019年の1月の香港で終わりを迎えるまで233本。もちろん中国人の人口の多さにもよりますが、2年半にわたって次々とライヴのオファーが来るジャッキーの人気のすごさがうかがえます。私も1年に1回ずつ見ました(笑)。80年代から90年代初旬、香港では作家が不足していたこともあり多くの日本の曲がカヴァーされました。玉置浩二さんの曲「行かないで」のカヴァーはジャッキーの代表曲にもなっています。最初にカメラに向かって水を吹くのはいただけませんが(苦笑)、そこは目をつぶって珠玉のバラードに浸ってください。
●サルヴァドール・ソブラル Salvador Sobral
最後は、この曲にしたいと思います。近年で最も好きな1曲です。
ポルトガルは、ヨーロッパでは小さな国。ポルトガルといえばファドという音楽が世界に知られていますが、彼が歌ったこの曲は、ファドではなくポップスであり、そしてそのポップスの曲が、ユーロヴィジョン・コンテストという世界規模のソング・コンテストで、はじめて優勝をポルトガルにもたらしたのです。ポルトガルの人たちは、この優勝で大きな勇気をもらったと言われています。
これは、有名なシンガー・ソングライターである彼の姉ルイーザが作った曲です。
サルヴァドール・ソブラルの「Amar pelos dois(二つの愛)」。
プロフィール
関谷元子
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