TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
CULTURE

【#3】現在の台湾ポップスをいろいろご紹介

2021.12.26(Sun)

「台湾」という所は、日本人にとって今や親しみの持てる所ではありますが、台湾のポップスというと、なかなかどうして、ちょっとハードルが高いというかたも多いかもしれません。

台湾は、人口が約2300万人ですが、多民族なんですね。
つまり、台湾には、様々な言語で歌われている曲が多いのです。

台湾最大の音楽賞、メジャーの音楽賞である、金曲奨(ゴールデン・メロディ・アワーズ)では、言語に分けて授賞部門があります。
台湾華語(いわゆる中国語の標準語に近いもの)、台湾語、原住民語、客家語といった風。で、原住民族は、台湾の人口のたった2.4%しかいないのですが、その中に16の民族がいて、それぞれが言語を持っているんですね。

今台湾では人口が少なかろうが、それぞれの民族のアイデンティティを尊重しようとしているのが良くわかります。

さて、そんな台湾の今のポップス、ちょっと聞いてみていただきたいな、と思い、ピックアップしてみました。
日本の九州くらいの所に、こんなに多彩な音楽があるんだと思っていただければ嬉しいです。

台湾はもともとロックが強い、バンドが強い所だったのですが、ここ数年、R&B/ヒップホップが人気を博しています。また、原住民の人たちのポップ・フィールドでの活躍も目覚ましいものがあります。

●YELLOW黄宣(ホアンシュエン)
原住民族ではありますが彼の音楽にはほとんどその影響がなく、R&B/ファンクといった感じかな。奇才といえる人です。曲は、21年の台北ファッションウィークのための曲で、日本でもおなじみヴィヴィアン・ス―とのデュエットです。

●9m88(ジョウエムバーバー)
NY育ちのジャズ・テイスト高いR&Bシンガー・ソングライターといっていいでしょうか。渋いけど、このお洒落さで人気あります。これは、日本のMitsu the Beatsがプロデュースした曲。

●クラウド・ルー(盧廣仲)
日本でも何度もライヴをしている日常を切り取った歌をうたうシンガー・ソングライター。メインストリーム的に人気がある人です。音楽一筋と思われた彼がドラマ・映画に出て俳優として高く評価されたのがわかる、この最新アルバムのタイトル曲のMVです。

●ユイディンミー(魚丁糸)
もともとは、ソーダグリーンという名前のトップ・バンドでしたが、このたび3年のお休みを経て、ユイディンミーという名前で再スタートしました。ヴォーカルの青峰はソロ・シンガーとしても音楽賞も獲り、人気実力があるアーティストです。

●サンセット・ローラーコースター(落日飛車)
日本でライヴを何度もし、若者に支持されているシティ・ポップとかAORのバンドと言われます。これは韓国の人気バンド・ヒョゴのヴォーカル、オ・ヒョクがフィーチャーされている曲です。

●サンプーイ(桑布伊)
台湾で大きな音楽賞で多くの賞をとっている、原住民プユマ族のシンガー・ソングライターです。原住民のかかえる社会問題などを積極的に発信しています。
この曲はアコースティック・ギター・ヴァージョンで、台北から遠くない、大同山観景台で撮影されました。遠くに台北101が見えます。

●アバオ(阿爆)
彼女も、原住民、パイワン族です。アバオは、2020年この曲で多くの賞をとりました。21年は、ヨーヨー・マ(世界的チェロ奏者)のアルバムに、この曲が取り上げられ、共演もしました。

●オリヴィア・ツァオ(曹雅雯)
台湾語で歌う女性シンガー・ソングライター、オリヴィアのいくつも賞を受けているアルバムから、日本でもアルバムがリリースされているR&Bシンガー、ホワイト(?te)がフィーチャーされている曲です。台湾語ってまたちょっと雰囲気がまったりして良いんですよね。

●ミサ(米莎)
最後は、客家人の言葉、客家語で歌う曲を。女性シンガー・ソングライター米莎(ミサ)をどうぞ。この曲は客家の伝統音楽をモダンにアレンジしたもの。この曲が入るアルバムをプロデュースしたのは、台湾で活躍する日本人バンド東京中央線の早川徹です。

いかがでしたか?なかなかではないでしょうか。

中華圏はお正月を旧正月でお祝いするので(2022年は2月1日が元旦)、12月31日は年越しという感じになります。
そして、台湾では、各地でカウントダウン年越しライヴが行われます。
多くがYouTubeで配信されますので、日本でも見ることができます。

その中でもなんといっても華やかなのが、台北です。あの高いビル、台北101のビルから吹き出るような花火はテレビなどで観たことがあるかもしれません。
だいたい7時頃から人気シンガーたちがライヴを繰り広げてゆきます。

日本と台湾は1時間の時差がありますので、台湾が年を越すのは、日本時間で午前1時になります。そのあたりで人気のアーティストが登場します。台北101のすごい花火もこのあたりで。もしご興味がありましたら、YouTubeで「2022跨年演唱會 臺北」や「台中」「花蓮」などと検索してみるとライヴが観られるかもしれません。

プロフィール

関谷元子

せきやもとこ | 音楽評論家。桐朋学園大学音楽学部卒業。CBSソニー(現・ソニーミュージック・エンタテインメント)入社。その後フリーランスの音楽評論家に。ワールド・ミュージックを専門としているが、1990年前後から台湾をはじめ中華圏のポップスを主に紹介している。現在は、InterFM897『World Music Cruise』 選曲構成・DJ、国士舘大学講師、Podcastスキアジ出演、原稿執筆、イベント制作司会など。中華圏とのコーディネートも行なっている。
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