カルチャー
第3話: デプトフォード・マーケット
文: ジョイ・オービソン
2021年9月6日
text: Peter O'Grady as known as Joy Orbison
edit (Japanese): Wataru Suetsugu
2021年 8月初出
僕のベッドルームの壁には、喜びで満たしてくれる絵が飾られています。毎朝目を開けてその絵を見ると、感謝すべきある特別な人物、そしてとてもユニークな場所を思いだすんです。
今週のコラムでは、僕の友人Matt Bashmore、そしてロンドンのDeptford Market(もしロンドンに来る機会があれば、是非このスペシャルな場所に立ち寄ってみてほしいです)の魅力を紹介しようと思います。これは、僕がWhatsappでMattと交わしたQ&Aの記録です(先日感染してしまった新型コロナウイルス感染症から回復しつつ)。


JO
MattはどうやってDeptford Marketを見つけて、どれくらいたってから魅力を感じるようになったの?

MB
多分9年か10年前だったと思うんだけど、友人のHughが、僕がNew Crossの彼の家に滞在している時に連れていってくれたんだ。彼がコレクティングバッグを準備していたのを見て、これは買い物する気満々だな、と思った(彼は今ではDeptfordのビーチでマッド・ラーキング*をするまでになりました)。あそこにはいつだって風変わりなアートがあって、その殆どはケントに住む定年退職した老婦たちのものだった。基本的に売れなかったものは捨てられてしまうから、見逃したくなくて定期的に通うようになって、それが習慣になったんだ。ちょっと変わったマインドフルネスみたいな感じ。そこにいるとホッとするんだよ。
*引き潮の際に川底から骨董品や古い硬貨などを発掘する行為

JO
君は元々ブリストル出身で、君があの街でどう育ったかを聞いていたから、Deptford Marketは君が恋しがっている沢山のものをカプセル化したような場所という印象があったんだよね。たとえばブリストルの人々とか。

MB
そうだね。色々な個性を持った人たちがいるからね。でも厳密に言えば、僕はSouth Bristol出身で、あそこは都会に住む芸術的ユートピアの世界の人々からは程遠い。DeptfordやNew Crossといったロンドン郊外にも同じことが言えるんじゃないかな。まあ今となってはその差は前ほどないのかもしれないけど。郊外にも魅力はあるしね。

JO
この前話しに出た女性は誰だったっけ?

MB
Mandyだよ。彼女はSouth Bristolの成功者! 素晴らしい人間で、彼女のセレクションは申し分ないんだ。ほとんど電子機器なんだけど、昔のシンセやキーボードに並んで中古の風船式BBW*ダッチワイフ(ちなみに通称Fatima)をロンドンで売っているのはあそこだけだと思う。
*Big Beautiful Woman

JO
Deptford Marketで見つけたもののなかで、一番珍しいものは?

MB
珍しかったもので、自分の家に置きたいと思うものは殆どなかったと思う。例えばダッチワイフとか。

JO
中古のダッチワイフなんて特にいらないよね。

MB
ほんとだよね。あそこにあるものの殆どが客をビックリさせるために置いてるものなんだろうけど、そうなのかどうか本当にわからないんだ。半分食べられたピクルスの瓶とか、パスタの袋なんかは理解に苦しむよ。

JO
君の他に常連、もしくはライバルはいるの?

MB
常連同士は激しくヒートアップする時もあるよ。一度赤毛のフクロウみたいな男と口論になって、そいつの頭を醜い陶器の入った箱で殴るまで激しく争ったことさえあった。暖炉の前にそれが飾ってあるのを見るとすごく嬉しくなるよ。正直、自分も将来あの赤毛のフクロウ男みたいになるんだろうな。

JO
ははは!これから初めてマーケットを訪れる人たちに何か助言はある?

MB
好きなだけ時間をかけて、ジャンクの山にじっくり目を通すこと。あと、あそこにある屋台のホットドッグは最高!

JO
ありがとう。
プロフィール

ジョイ・オービソン
ロンドン出身のプロデューサー、DJ。2009年に「Hyph Mngo」でデビューし、「Ellipsis」、「GR Etiquette」、「Big Room Tech House DJ Tool-TIP!」、「Slipping』などを自身のレーベルHinge Fingerなどから発表。Mansur BrownやOvermonoなどのアーティストとのコラボレーションも行う。BBC Radio 1でレジデンシーを務めるほか、世界中のアンダーグラウンド・クラブ・パーティからフェスティバルのヘッドラインに至るまで幅広く活動を行う。日本では2015年にC.E主催のパーティーに出演して以来3度にわたり来日を果たしている。2021年8月には自身初となるフルレングス作品「still slipping vol.1」をXL Recordingsより発売した。
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