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50年後のPOPEYE Web編集部へ、みんなの机が生まれるまでの3日間/Day1

with 『T-PLASTER』

text:Fuya Uto
supecial thanks:Koji Teramoto

2026年1月15日

 突然だけど、雑誌『POPEYE』は今年で50歳。1976年に創刊してから変わらず、編集部では日夜たくさんの大人が出入りし、さまざまな企画が生まれてきた。今回そんな節目を迎えるにあたり、心機一転、衣替えをすることに! 新調するのは先人たちが何万回と打ち合わせをしたり、数えきれぬほど向かい合ってこられた「机」である。

 といっても、ただ買って終わりでは味気ない。DIY精神に大切に、まずはPOPEYE Webのデスクから自分たちの手で作ってみることに。協力を仰いだのは、横浜を拠点に店舗内装業や家具製作を主に行う『ティープラスター』。近郊や都内各地の空間づくりはもとより、合成樹脂(レジン)や塗料まで自社開発するプロフェッショナルな工務店だ。

もともと左官職人だった水口泰基さんが、2007年に立ち上げた工務店。横浜市南区の旧米軍ハウスが位置する高台に突如現れる立地もさることながら、驚くべくはその規模感。地下から3階までさまざまな樹種の木材や加工機がびっしり詰め込まれている。今回は若き工場長、安藤翔平さんにレクチャーいただいた。

 というわけで、ここから先は職人たちにお世話になりながら、ひたすら手を動かし続けた3日間のダイジェストをお届け。同社のものづくりの現場はどんな感じなのか、また自分で作ってみたい方はぜひ参考にしていただきたい。随所に専門知識が散りばめられているので、最後まで読めばあなたも手持ちの工具を駆使して作れるようになるかもしれません!

 まずは打ち合わせからスタート。リクエストしたのは「日頃PC作業をしたり、印刷用紙を広げたりする編集者やデザイナー、ライターが最大10人は座れるくらいのサイズで」「足が広々と伸ばせるように」と、素人目でもわかるほどデカいサイズ。搬出・搬入も考えて、幅1250mm/高さ700mmの長方形タイプを2つ作ることが決定! 流れとしては、ざっと以下のとおり。

・1日目 天板と脚の材料選び、製材、天板の張り合わせ
・2日目 天板カット、縁の取り付け、サンディング
・3日目 脚の製作、塗装、最終サンディング

 はじめに特筆すべきは、材木。曰く「物流の現場で使用される廃棄予定の『木製パレット』を再利用して作る」とのこと。荷物を載せて運んだり、保管したりするために重宝するスノコ状のアレ。聞けば、環境にも優しいゆえに、かねてより家具や内装業の材料としてアップサイクルしてきたそうで、工房には引き取ってきたそれらが山盛りに保管されているのだ。考えてみれば、日本でいち早く西洋文化がもたらされ、今も膨大な貨物を扱う玄関港である横浜らしい材。俄然テンションが上がる。


①天板と脚の材料選び&下準備をする。

 まずはなるべく木の反りがなく、虫に食われていたり、松ヤニが出ていないパレットを選ぶ。一枚一枚、組み立てに使われる釘をバールで抜いていく。錆びたり変形しているものもあるので、なかなかいい汗をかく根気のいる作業だ。さらに小さく細かいタッカーの芯はペンチで除去する。丹念にチェックし、異物を取り除いたらOK。

②製材をする。

 天板と脚それぞれの寸法より少し大きめに切り分けていく。この工程で大事なポイントが「どこをどうやって切り分けていくか」。木目、割れ、節などの有無を考慮しながら、切る位置や手順を決めて、適材を考えながら作業する(木取りという)。その後、自動カンナ盤と手押しカンナで荒れている木材の両面/側面を削り、平らにし、厚みも均一に。

 さらに出た木くずは後日知り合いの牧場へ。「ただ捨てるのではもったいないので、馬の寝床として使ってもらっています」と安藤さん。

丸ノコで寸法通りにカットしていく。

自動カンナ盤で両面を削り、整える。

手押しカンナで側面を削り、厚みを均一に。

③天板を張り合わせる。

 幅と厚みが揃ったら、天板の木材を張り合わせる順番を決めていく。今回は一枚あたりのパレット材は10枚。木目に合わせた方が綺麗だけど、それぞれ個性があるので色合いや質感を見ながらパッチワーク感覚で組み合わせていく楽しい作業だ。ここで使うのは「ハタガネ」と呼ばれる、表裏から挟んで圧着固定するための締め具。跡がつかないように当て木を忘れず、木の側面に木工ボンドを刷毛で塗り込み、力強く締め上げていく。

 圧着が完了したらボンドが浮き出てくるので、ヘラと雑巾で綺麗に拭き取る。これが地味に欠かせない大事な作業である。固まると凸凹するだけでなく、塗装の際にムラの原因になったりして厄介なのだ。なるべく残さないように入念にチェックして初日は閉幕。