TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#4】「生き物が好きな理由」

執筆:田中直樹(ココリコ)

2025年11月3日

私は生き物が好きです。微生物から大型の生き物までどんな生き物でも大好きです。

子供の頃から好きでしたが、子供の頃はチーターは足が速くて格好いいなぁとか、タカは顔付きが鋭くて格好いいなぁという程度で今程夢中になっていたかと言えばそうではありません。

この世界に入り、少しずつお仕事を頂けるようになってきた若手の頃、求められるレベルで結果を出す事がなかなか出来ず、自分の能力の低さに落ち込み、人間関係も上手くいかず、頭の中はいつもこんがらがって精神的にも体力的にもしんどい時期がありました。

その時に、自分の事を「人間」ではなく生物学上の「ヒト」として考えた時に、寝る場所があり、食べる事が出来ていれば、まずは生き物としてOKなのではないか!?最低限の事は出来ているのではないか!?と思わせてくれたのが人間以外の様々な生き物でした。
食べて、寝て、交尾・交接のタイミングを待つ。それが出来ていれば生き物としてOKではないかと。

これまでは人間とその他の生き物。という様に線を引いていたのだと思います。人間ではなくヒトと考える事でその線引きが無くなり、頭の中の絡まっていた物がほどけていく様な感覚がありました。
勿論、ヒトが人間として生きていく上ではそれだけではダメなのでしょうが、まずは生きているだけでOKだと自分自身を肯定してあげる事が出来ました。なのでそう思わせてくれた生き物には感謝しかありません。

速く走る、高く飛ぶ、深く潜り、色を変え、形を変える。性転換したり、共生したり、匂いを放っておびき寄せたり、群れを作って行動するなど様々な特徴が生き物にはあり、それはどれも魅力的で、逆に言うと魅力的でない生き物はこの世にいないと僕は思っています。

生物の多様性は勿論、人間社会の多様性にも置き換えられます。色んな人がいるからこそこの世界は面白いなぁって思います。

それと、様々な種類がいるので自分がとてもシンパシーを感じる生き物もいます。
魚類には上アゴよりも下アゴの方が突出している種類が結構いるのですが、中でもウケグチザラガレイというカレイの仲間なんて名前からして、私はとてもシンパシーを感じてしまいます。
あとタナカゲンゲというゲンゲの仲間もそうですし、植物界にも、たまに私みたいなナスがいてそのナスにもシンパシーを感じます。

ウケグチザラガレイ
wikimedia commonsより(public domain)

タナカゲンゲ
wikimedia commonsより(public domain)

多種多様な生き物から私はたくさんの勇気や生きるヒントを貰っているのだと思います。

ちなみに、タナカみたいなナスはこんな感じです。

プロフィール

田中直樹

たなか・なおき|お笑いコンビ「ココリコ」のボケ担当。1971年、大阪府生まれ。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』や『アイ・アム・冒険少年』など数々の番組にレギュラー出演中。趣味は生き物観察で2015年、生物学者の長沼毅さんと共著で生物図鑑『図解 生き物が見ている世界』(学研パブリッシング )を出版。

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