TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】「カーディガン」

執筆:田中直樹(ココリコ)

2025年10月20日

僕はカーディガンが大好きです。

夏以外、ほとんどカーディガンを着て過ごしています。

たくさん持っている訳ではないのですが、脱ぎ着しやすく、暑さ・寒さの調整もしやすいのでよく着ています。

好き過ぎて、2003年に行った単独ライブのタイトルを「優しさカーディガン」にする程でした。

その時は自分の好きな物を20個、それぞれ小さな紙に書いて裏返し、シャッフルして引いた二枚を組み合わせてタイトル名にしようと思いました。それが「優しさ」と「カーディガン」だったので、「優しさカーディガン」となりました。
「優しさシャウエッセン」になっていた可能性もありました。

それとは別に、私は以前から「カーディガンってなんか優しいなぁ」と思っていました。ニット感?前開きだから?全体的なシルエット?
その理由はわかりませんが、ライブのパンフレットを作る時、タイトルにも付けたカーディガンの事が気になり調べてみました。

するとカーディガンは人の名前だという事がわかりました。

Earl of Cardigan (1797-1868)
wikimedia commonsより(public domain)

1800年代中頃、イギリスの小騎兵隊を率いていたのが第七代カーディガン伯爵。
当時負傷した兵士達には寒さから身を守る為にセーターが着せられたのですが、頭を怪我している人に対してセーターを着せるのは難しく時間もかかり、更には怪我を悪化させる可能性もありました。
そこで、カーディガン伯爵は素早く安全に着させる為に、前開きのボタンで留めれるセーターを発案しました。それがいわゆるカーディガンです。まさかカーディガンが人の名前から付けられていたとは知らずとても驚きました。自分が好きなカーディガンにまさかそんな由来があったとは。

このエピソードを聞いた時に自分がカーディガンから感じていた優しさの正体がわかったような気がしました。
仲間の兵士を思いやる気持ちがあの形に反映されていて、その優しさも一緒に羽織っているからではないかと。
僕はこれを知り、より一層カーディガンが好きになりました。

更に服の種類でいうと、レオタードはフランスの男性の曲芸師の方が着ていたタイトな服が由来だと聞きました。

他の服の由来はわからないのですが、ベルボトム男爵やセーター夫人、ブルゾン公爵なんかもいたらいいのになぁなんて勝手に思っています。サスペンダー執事がいて、お手伝いのキュロットさんもいたり、、。

こちらはラジオ番組でお世話になっているスタッフさんから誕生日に頂いたハンガーです。

私がカーディガンが好きだという事で、「カーディガン専用」とわざわざ刻印を入れてくれました。「カーディガン専用」という言葉自体、ほとんど聞いた事がないのでとても気に入っています。

ちなみにこのハンガー、触り心地がカーディガンに負けないくらい優しいんです。

プロフィール

田中直樹

たなか・なおき|お笑いコンビ「ココリコ」のボケ担当。1971年、大阪府生まれ。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』や『アイ・アム・冒険少年』など数々の番組にレギュラー出演中。趣味は生き物観察で2015年、生物学者の長沼毅さんと共著で生物図鑑『図解 生き物が見ている世界』(学研パブリッシング )を出版。

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