TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】力士のおしゃれのアクセントは“鞄”

執筆:佐田の海 貴士 

2025年10月19日

そもそも日本相撲協会員である力士には「外出時は和装」と定められており、さらには番付ごとに許される服装にも制約があります。

例えば番付ごとに許可される装いとして
三段目→雪駄、羽織
幕下→博多帯、外套、マフラー
十両→紋付き袴
幕内→場所入り用の染め抜き 等々細かい規定があります。

「関取になること」が一番の目標ですが、「雪駄を履きたい」「寒い日は外套を着たい」「博多帯を締めたい」と細やかな目標ができてモチベーションを維持する一端を担ってくれたことは事実です。
やはり序二段から三段目に上がったときに履いた雪駄や、幕下のときに博多帯を締めたことは今でも鮮明に覚えています。

そうやって少しずつ良いものを着ることができるようにはなりますが、基本周りと同じ装いであることに変わりはないので力士が個性を出す一つのポイントとして「鞄」があります。

角界でも〈ルイ・ヴィトン〉、〈エルメス〉など錚々たるブランドが散見されるなか、最近は〈ベルルッティ〉もトレンドみたいですね。
自分はイタリアの〈イル ビゾンテ〉をこだわって使っています。
〈イル ビゾンテ〉との出合いは、自分が怪我で幕下に低迷していたときに四股名の下の名前を変えた(要→貴士)際、名前をつけてくれた方が「あなたは緑色がいいよ」とアドバイスをくれたので、それ以来げん担ぎでなんでも緑色を愛用しています。
そんな折、前回の記事で書いた〈マリメッコ〉を紹介してくれた地元の友人が〈イル ビゾンテ〉の緑色の財布をプレゼントしてくれました。シンプルさ、程よい革の硬さ、そして緑色の革製品の取り扱いがあるところに一目惚れしました。

現在、〈イル ビゾンテ〉の鞄は6つ持っています。
財布をはじめ、キーケース、小銭入れ、手帳、ポーチなど身の回りのありとあらゆるものが〈イル ビゾンテ〉のものです。もちろん今回のロンドン巡業の際もパスポートは〈イル ビゾンテ〉のパスポートケースに入れていきますよ(笑)
妻や、母にプレゼントすることもありますね。

鞄の使い分けは、プロテイン(シェーカー)を持ち歩く場合は大きめのもの、巡業の時など移動が多く傷がつきそうなときはキャンバス地のタイプを使っています。

将来引退したらスーツを着る機会も増えるかと思うので、その時はビジネスバッグにも挑戦したいですね。

みなさんも是非巡業や街中でお相撲さんを見かけたら、鞄に注目してみてください。

YouTubeの「親方ちゃんねる」で鞄チェックされた際の動画。

プロフィール

佐田の海 貴士

さだのうみ・たかし|1987年5月11日生まれ、熊本県熊本市東区出身。本名、松村要。境川部屋所属。身長182cm、体重143kg、血液型O型。父は元小結・佐田の海鴻嗣。2003年春場所初土俵、2010年新十両、2014年新入幕。最高位は西前頭筆頭(2015年7月)。三賞は敢闘賞3回、金星1個。得意は右四つ・寄り。2025年現在、幕内で活躍中。