From Editors

ねぇ、次の週末、山行かない?

NO.943

2025年10月8日

「え、山?興味ないよ」と友人たちに断られ続けてかれこれ4年が経ちます。幼少期から野山を駆けめぐり、GWは親戚みんなで山を登っていた身としては、ノリの悪い友人たちに憤慨したくなるもの。その一方で、「たしかに社会人生活は疲れるし、土日くらいゆっくりしたい気持ちもわかるよ」と納得もしてしまう。そんな微妙なフラストレーションの中で苛まれる日々でした。
……でももう大丈夫。なんてったって、今回の特集の取材でいろんな山に登れたから!見てくださいこの景色〜〜!!!

改めて見ても最高すぎ。若干頼りない鎖やハシゴをつたい、ガクガク笑っている膝に鞭打って、限界を乗り越えた先のこれ。もう、言葉にはできないほど清々しかったです。

これは長野県の八ヶ岳連峰のなかで一番高い、赤岳の山頂からの眺め。頑張れば日帰りでも登頂できる山ですが今回はあえて2泊3日のゆったり行程で行ってきました。なぜなら、いろんな山小屋に寄り道しまくって、道中を全力でエンジョイしたかったから。山小屋って、本格的なビーフシチューが食べられたり、かわいいグッズが売っていたり、実は結構楽しめるポイントがたくさんあるんです。

「そんな感じで、ハードなだけじゃない、もっといろんな角度の山の楽しみ方があるはずなのでは!?」という思いで、Book in Bookではポパイ的登山ガイドをつくってみました。

誌面ではタコスパーティをしてみたり、デートの目的地にしてみたり、山ビギナーから山ラバーまで集まっていろんな山遊びにトライ。ストイックに登山やトレイルランニングをするのもかっこいいけれど、まずはゆるめの難易度でただただのんびり楽しむのも最高だと改めて実感しました。(装備や準備はもちろん念入りに、ね!)

自然のなかを歩く喜び、美しい景色のなかで気の置けない人々と過ごす時間は、本当に豊かで幸せな気持ちになるよね〜。はぁ、思い出しただけでもうすでにまた山に行きたいです。

八ヶ岳・オーレン小屋の夕食は馬肉のすき焼き。ご飯を3杯おかわりしたのは秘密です。

そして最近感じているのが、アウトドアはファッション的な文脈においても少しずつ潮目が変わっているのでは、ということ。おしゃれなウェアを着て山登りをしているSNSの投稿をよく見るし、街を見回したときにもシェルやトレッキングシューズを普通に使っている人、めちゃめちゃ増えましたよね。

かくいう私も実際にアウトドアの服を都会での日常着としても使っている一人。動きやすかったり、雨風に強かったり、みたいな機能性はもちろん、最近はカラーリングや細部のディテールがかわいいブランドが多いので、どんな服に合わせても意外としっかり馴染んでくれるんです。アウトドアに興味がないとしても、プロダクトそれ自体がとっても優秀なものばかり。

今回の特集は、そんなアイテムたちをひたすらに集めて集めて集めまくった渾身のカタログがたっぷり30P以上ありますよ。そして自然を愛する海外のシティボーイたちのスナップもあって、外に出たくない人向け・インドアで楽しめるアウトドアガイド(どういうこと〜!)まで揃い踏み。あ、あと私が「山に登りたい!」という熱いパッションを(勝手に)ぶつけた山登りガイドも。そんな内容盛りだくさんのアーバン・アウトドア特集になっています。

アーバンとアウトドアは一見すると相反する言葉かもしれないけれど、「アーバン」と「アウトドア」を行き来したり重ね合わせたりすれば、都会も、自然も、もっと面白くなるんじゃないかと思います。

どんなフィールドでも貪欲に楽しむ、そのヒントになる1冊であることを願っていますし、あわよくばこれを読んでくれたみなさんが、私の山の誘いに応じてくれるようになることを祈っています。ねっ、来週、山行かない?!

(本誌担当編集)諸角優英