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きみも建設業界で働いてみない?/施工管理・相馬怜美さん

2025年10月17日

ビルを建てたり、自然を守ったり、
学校の壁を修復したり、
身近にある建設業界の仕事を覗きにいこう。

工事が円滑に進むよう、ケアをする。(施工管理・相馬怜美さん)

一つひとつの仕事を大切に。
忘れないようリストアップを。

 都内某所の高層オフィスビルでは、ワンフロア全体でまるっと改修工事が行われていた。住居ではなく教育機関。やがて壁になるであろう柱が立ち並び、なんとなく教室や廊下の輪郭も見えてくる。ガラス張りの窓からは光がさんさんと差し込み、冷房が追いつかない。職人たちはヘルメットの隙間から汗を垂らし、黙々と作業をしていた。「すみませんね暑くって」と出迎えてくれた相馬怜美さんは、2級の建築施工管理技士補の資格を持ち、中秀工業で現場での管理業務を行っている。

「メインの仕事は工程管理と書類の作成ですね。今どういう工事が行われているかを把握して、進行におかしなところがないかどうかを随時チェックします。さらに上の立場の現場代理人になるとお金の管理も任されるんですが、そのためにはもっと経験を積み、知識を深めることが必要。その第一歩として2級建築施工管理技士の取得が必要だと考えてます。あと2年くらい実務経験を積んで試験を受けようと思っています」

職人たちの作業を邪魔しないように、工程に漏れがないかをチェックする。

 工事現場=街角にあるものだと漠然と思っていたから、オフィスビルの高層階のワンフロアで作業が巻き起こっているのがなんだか新鮮だった。一日の流れはどんな感じ?

「8時に職人さんが来るので、7時半から7時40分にはここに着くようにしています。工期によっては職人さんがすごく多いときもあるので、そういうときは全体で朝礼をします。そして新しく現場に職人さんが入ることを新規入場というんですけど、所属の会社や緊急連絡先をシートに記入してもらって、現場のルールを説明します。そのあと、日中は各々が持ち場の作業についている感じですね。なのでトイレに行くついでに現場をわーっと見て、おかしいことになってないかなと見てみたり、材料搬入があるときは職人さんの迷惑にならないように立ち会ってスムーズに搬入できるようにしたり」

 欠かせないのが写真撮影だ。相馬さんはデジタルカメラを携帯し、必要に応じて各工程の様子がわかるよう、作業箇所の写真を撮る。

「発注元に報告するための写真です。予定と違ったことをしていないかを写真に残し、共有して確認してもらいます。工事は常に先に進んでいるので、写真を撮りそびれたら『話が違う』と大問題になってしまう可能性もあります。なのでいつ、どのタイミングで写真撮影を行うかを忘れないようにリストアップしておき、予め職人さんに『今日はこういう写真を撮りたいです』と伝えて、漏れがないようにしています」 欠かせないのが写真撮影だ。相馬さんはデジタルカメラを携帯し、必要に応じて各工程の様子がわかるよう、作業箇所の写真を撮る。

写真撮影のためのチェックリストを自作し、プリントアウトして持ち歩く。建築現場での撮影に特化したアプリもあるんだそう。知らなかった!

 各所に気を配りながら、作業が円滑に進むようにケアをする相馬さん。この仕事を始める前は保育士さんだったんだそう。

「新卒からずっと保育士をやっていたんですけど、私の働いていた保育園では何年たっても手取りが18万円前後で将来に不安を感じるようになったんです。経験年数を考慮しても、手取りが20万円を超えることは滅多になくて。それで求人情報を色々調べたときに『建築サポート事務』というのを見つけて、本当に事務なのかなと思って調べたら施工管理だったんですよ。未経験でしたけど、結局どの業界に転職しても最初は初めてのことばかりだし、それなら思い切って飛び込んでみようと思ったんです」

 派遣の施工管理として様々な建築会社で働いていたが、ある現場で中秀工業の人と知り合いになり、その後、ご縁があって働くことに。ちょうどその頃、別の派遣先で職場の環境に悩むことがありすぐに派遣をやめて正社員を選んだ。中秀工業は風通しがよい職場で、新人に仕事を任せてくれるなど度量も大きいという。ただ、そのぶん責任もずっしりと感じている。

「この会社に入ってこの現場が3件目で、今は私の上に現場代理人の上司がいるんですが、独り立ちまでのカウントダウンが怖いですね。やっぱり建築業界って、新人を独り立ちさせるまでが早いんですよ。専門性が高いからもうちょっと誰かに付き添ってほしいんですけど、ポンと現場に出されるので不安もあります。ただ同業の別の会社の方にも聞くと、皆さん最初から一人だったと言うんですよね。なので今みたいに誰かが付いてくれてるだけでも配慮されているんだなって」

この現場では高所作業は発生しないけれど念のためベルトには安全装置が付いている。作業のための線を地面や壁に墨を使って引くことができる墨壺は現場で必須アイテム。

 会社に入ってから1年。相馬さんはこう自分を評価する。

「現場ごとに新しい工法があるのでその都度覚えないといけないですし、前に見たから大丈夫という気持ちはありません。でもひとつの現場が終わると必ず、学びがあったなとか、成長したなと思えます」

 保育士として働いてきた経験は生きているんだろうか。

「現場が小学校だったときは、どんな改修工事が行われるんだろうと様子を見に来る子どもとのやり取りが楽しかったですね。あと、どの現場も女性が少ないこともあるのか、好かれやすい部分はあるみたいです。どの職種でもそうだと思うんですが、やっぱり仕事って『これをやってください』『わかりました』っていうコミュニケーションが基本じゃないですか。その点、保育士時代は女性ばかりの職場で親御さんとのやり取りを常に行ってきたので、角が立たないお願いの仕方は身についているんです。だから上司が気の強い職人さんに話しかけづらいときは私からお願いすることもありますね。なかには『もっとビシッと言ったら?』というスタンスの人もいますけど、ビシッと言わなくても、柔らかい言い方でも必要なことが通じればいいと思うんです。むしろビシッと言わなきゃいけなくなるような事態は避けたいですね」

プロフィール

きみも建設業界で働いてみない?/施工管理・相馬怜美さん

相馬怜美

そうま・さとみ|1997年、埼玉県生まれ。保育士として6年ほど働いたのち、派遣社員として建築業界へ。2024年に中秀工業に就職。2級建築施工管理技士補の資格を持ち、施工管理として働く。休日は強くなるためキックボクシングに通っている。

インフォメーション

中秀工業

世田谷区上北沢に本社を構える建設会社。昭和31年に文京区本郷で創業。東京大学や世田谷区内の小学校などの学校建築をはじめとした、難易度の高い公共建築物の改修案件を請け負う。