TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】中国夜の出口は焼烤(シャオカオ)
執筆:奥村忍
2025年7月20日
『みんげい おくむら』の奥村です。今日は中国の夜の話。
シャオカオ(焼烤)という串焼きがある。中国全土の夜を賑わす、エンターテイメントなのです。
簡単に言えば、肉や野菜など各種串にスパイスなどのふりかけをかけて焼くだけ。それだけなのだけど、地域によって具材や味付けに差があってそれが面白いし、またどんなにその町に着くのが遅くても、どこかしら夜明けまでやっている、そんな中国の夜の門番的な存在。
夕方遅くからは子供達も含めた家族の時間。てっぺんを過ぎる頃は明日のことは気にしないといった風情のおっさんたち。丑三つ時になれば、クラブから出てきたような若者が楽しそうにビールを飲みながら串を食べている。
どこにいってもルールは簡単だ。ネタケースのような冷蔵庫から、好きな串を取り出して、プラのかごに入れて店員さんに渡すだけ(あるいはメニューがあるところもある)。本数の縛りがあるものは(肉類は5本からとか)、輪ゴムで串がまとまっていたりするのでそれは気をつければ良い。肉類は小さく串打ちされているものが多いので野菜を含めて一人で二十本くらいになることも珍しくない。ナスは大ぶりのものが串に刺されず置いてある。これは開いて焼き茄子にしてくれる(大好物)。特に最低消費本数や金額が決まっている訳でもないので、夕方ならちょいアペロに、夜半の二、三軒目なら数本と締めのビールに、と使いやすい。
僕が雲南や貴州でも焼烤を楽しみにしているのは、雲南なら美味しい野菜があるし、貴州なら羊肉(ヤギ肉のこと)がある、というご当地食材のこともあるけれど、どちらかと言うと、座って周りの楽しそうなお客さんや、忙しそうに炭を起こして焼き場を守ってる店員さんたちの姿を見ているのが好きなのかもしれない。
度数の低い(3%前後)中国の瓶ビールをちびちびやりながら、ぼんやりと過ごす。酒は店に無いものなら持ち込めば良い。持ち込み料は無しだ。雲南や貴州なら夏の夜でも外で食べて気持ちがいい気候なのも嬉しい。
そうそう。Youtubeを検索すれば「人生一串」という焼烤のドキュメンタリー番組が見られるはずだ。ぜひ中国全土の串焼き文化を見てみてもらいたい。日本の焼き鳥やもつ焼き好きならきっとたまらないはずだ。
プロフィール
奥村忍
おくむら・しのぶ|1980年、千葉県生まれ。大学卒業後、放浪。WEBショップ『みんげい おくむら』を2010年オープン。国内外から手仕事による生活道具を提案する。作り手や産地を巡り、選ぶことをモットーとし、月の2/3は手仕事に触れる旅をする。近年では中国民藝に特に力を入れており、消えつつある中国の手仕事を
探し歩く旅を『中国手仕事紀行』として2020年に出版(青幻舎)。2024年末にはコロナ後の様子を加筆した増補版が新たに出版されたばかり。
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