TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】YU & ME
執筆:セザール・ドゥバルグ
2025年7月21日
京都の銭湯『サウナの梅湯』オーナーの湊三次郎さんから銭湯用のバスタオルのイラストを依頼されたとき、銭湯との関わりが自分の人生にとってこれほど重要なものになるとは思っていませんでした。
バスタオルのデザインをするというのは面白いアイデアでした。裸で浴場に入り、体にまとえる唯一の布であり、デザインできるアイテムだからです。毎日使い、裸の体を洗い、湯に浸かりながら頭にタオルを乗せる人たちの姿を想像し、サイケデリックな銭湯セッションのイラストを描きました。そして浴室の中でそれを撮影しました。
日本人にとって当たり前のことが初めて銭湯を訪れた外国人の私には驚きでした。例えば、電気風呂、ポカリスエット、風呂上がりにマンガを読んだり牛乳を飲んだりすることなどです。
銭湯はリラクゼーションと健康の場である一方で、入浴前に体を洗うことやサウナで大声を出さないことなど多くのルールがあり、それもまた面白く感じました。
ストレスや疲れを感じるたびに銭湯に行くことで心がリフレッシュし、新たなアイデアが浮かびました。銭湯は体を清めリラックスするだけの場所ではなく、社会的なつながりや芸術的なインスピレーションの場でもあることに気づいたのです。
ある日、地元の銭湯でお湯に浸かっているときにアイデアが浮かびました。銭湯で気づいたことをすべて書き留めて、1冊の本にしようと。
私は書き始め、絵を描き、アルバイトで梅湯に勤める友人たちにインタビューや撮影を行いました。その結果できたのが『YU&ME』という112ページのZINEです。銭湯のメモやイラスト、写真が詰まった小さなガイドのようなもので、外国人にユーモアを交えて日本の入浴文化を紹介することを目指しました。
日本での6ヶ月を終えてフランスに戻った際、これらのZINEを印刷し配布しました。驚いたことにすぐに売り切れました。その後数年が経ち、日本、特に銭湯文化がとても恋しくなりました。そのとき、再び日本に戻るという新たなアイデアが浮かびました…続く。
プロフィール
セザール・ドゥバルグ
イラストレーター、グラフィックデザイナー、編集者として活動。
パリの国立高等装飾美術学校(通称アール・デコ)、ジュネーブのHEAD、そして京都芸術大学で学ぶ。フランス、イタリア、日本のあいだで、報道・ファッション・文化機関(ニューヨーク・タイムズ、ルイ・ヴィトン、エルメス財団など)とのさまざまなコラボレーションを通じて、ドローイングの表現を磨いてきた。
そうした制作と並行して、2018年以降は個人プロジェクトや共同企画も展開しており、なかでも京都を拠点に、日本の公衆浴場・銭湯文化のリサーチや、梅湯をはじめとする銭湯との継続的な取り組みなど、温浴文化をテーマとした活動に注力している。
Instagram
https://www.instagram.com/cesardebargue/
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