TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】ブラジリアン・デザイン

執筆:Gallery CASA DE

2025年7月9日

ブラジルの家具を知っていますか?

日本での輸入家具人気には、1990年代から2000年代にかけて流行した北欧家具や、イームズといったミッドセンチュリーデザインの流行など、時代ごとのブームがありました。
2010年代に入り、フレンチデザインの人気が高まる中、ここ最近になってようやく「ブラジリアン・デザイン」という言葉も少しずつ知られるようになってきたのではないでしょうか。
とはいえ、まだあまり聞き慣れない人も多いと思うので、少しだけお話しさせてください。

ブラジルの有名なデザインと言えば、誰を、そして何を思い浮かべるでしょう。

プリツカー賞を受賞した建築家オスカー・ニーマイヤー、ニテロイ現代美術館か。あるいは、女性建築家として注目されるリナ・ボ・バルディ、それとも、どこか素朴でユーモラスな木彫の民芸品でしょうか。

いずれも“ブラジルらしさ”の一端ではありますが、今、その背景にある混ざり合う文化への関心が高まり、家具にも注目が集まっています。

ブラジルのモダン家具は、移民によってもたらされたヨーロッパの家具づくりに、アフリカや先住民の感性、そして熱帯の自然環境が混ざり合ってできあがったもの。手仕事の温かみ、ラフさ、彫刻的なフォルム、その魅力が世界のデザイン界で再発見されてきています。

2024年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)で《Crafting Modernity: Design in Latin America, 1940‒1980》展が開催され、セルジオ・ロドリゲスやジョアキン・テンレイロなど、これまで知られていなかったデザイナーたちが、モダンデザイン史の重要な部分に位置づけられたのが大きいかもしれません。それ以前にも、欧米のギャラリーやオークションハウスがブラジル家具を積極的に扱うようになり、専門的な評価は国際的なものへと変わっていきました。現在は著名人たちが所有するなど、静かなムーブメントが起きているのを感じています。

そして今年4月には、ブラジル人デザイナーであるセルジオ・ロドリゲスとリカルド・ファザネロの企画展を駐日ブラジル大使館で行うなど、私たちもブラジルデザインの魅力を伝えてきました。異国のデザインに見えて、どこか懐かしい。そして、これからの暮らしにこそ合う自由さと優しさを持っているその共通点は何か。このコラムでは、その一端に触れてみたいと思います。

駐日ブラジル大使館での展示風景

プロフィール

Gallery CASA DE

ぎゃらりー・かさで|ミッドセンチュリー期を引き継ぐアトリエによるリ・エディション家具からコンテンポラリー家具を取り揃えるギャラリーとして展開。展示会や企画展なども行う。

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