TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】お酒と音楽③

執筆:マダムギター長見順

2025年5月27日

そういえば、お酒とライブにとって屈辱的な時代がついこの間ありましたねえ。
ライブ禁止、飲酒禁止。
そう、COVID−19の時代。
今ももちろん人間はウイルスと共存、あるいは闘って生き延びることを考えますが、まさかお酒と音楽が叩かれたというのは、わたし的にはまさかの禁酒法時代、苦い経験でしたねえ。
つまり、緩んではいけなかったわけで。緩むとヒトはくっつきたがり、しゃべりたがり、何もかも忘れたがり。この状態は、わたしにとっては至福の状態ですがねえ、奪われてしまったあの時代、ウイルスが悪いわけではない、そのような政策をとってしまったニンゲンたるや、とついつい愚痴めいてしまいます。

わたしの今いるライブシーンではお酒とダンスと煙があります。
かっこいい音楽聞くと飲みたくなり踊りたくなり吸いたくなり、、脱ぎたくなり抱きたくなり叫びたくなりあああああ〜。

そういえばこの間、東北新幹線の東京駅待合室で、たまたま座った目の前で売店の発注仕事現場を見ました。

「ドーナツがもうありません……」
「それもう在庫無し、評判良すぎて」
「缶コーヒーあと一箱追加!」

などと緊張感ありキビキビしていて、業界用語ありのリズムテンポありの、それでいて楽しそうで。日々丁度いい数の発注をすることにエネルギーを注がれておるその仕事、それは見ているわたしにとってはハラハラドキドキのライブシーンでありました。観客のわたしは拍手さえしませんでしたが、待っている30分間はそれはそれは楽しい時間でありました。

音楽のライブシーンもいつの日か、もっと気軽で身近で日常的に楽しめる時間と空間になればなあと思うのです。
たまにはおしゃれして、外出して、酒飲んで。
あれ、もうこんな時間、深夜バス無くなっちゃったんだよね、タクシーは長蛇の列だしアプリったってガラケーだし、と、これはわたしの愚痴です。
楽しむのも楽しませるのもたいへん、と考えたり、半袖着たり長袖着たり、着たり脱いだり寒暖差もたいへんな五月です。

みなさま、今宵、爽やかに微発泡の日本酒などいかがですか。

五月、我が家福島は在庭坂の地下穴蔵にてレコーディング始まります。

プロフィール

マダムギター長見順

1962年、東京都生まれ。マダムギターとは、あたくし長見順のこと。ギタリストとして黒人(アフロアメリカン)のバックを務めながら数々のマダムソングを作曲し、その理論を超越したギタープレイと、妄想を暴走させた歌詞が観客の絶賛を浴びる。代表曲は、OYAZI、暴走族のボレロ、加藤さんのテーマ、しわよせの世界など。2025年春から〈P-VINE RECORDS〉より、8枚目となるソロCDアルバム「クイ~ン オブ ルーズ(いいかげんなチョ~キング)」発売。

Official Website
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