TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】「東京音頭」 at ブラジル料理『El’s(エルズ)』/福生“赤線”界隈探訪 02
執筆:田中克海(民謡クルセイダーズ)
2025年1月27日
ここは東京の西の端っこ米軍横田基地がある街「福生」。
戦後、基地の軍人さんの“お楽しみ” 歓楽街であった「赤線」と呼ばれるエリアを気ままに彷徨うコラム「福生“赤線” 界隈探訪」の第二回目は、ブラジル料理『El’s(エルズ)』にお邪魔しました。
ビビッドなオレンジの外壁が赤線でも一際目を引くこのお店ですが、中に入ってさらに衝撃が走ります。高い天井にビックリする広さのフロアー、昼なお薄暗い店内の奥で光るバーカウンターに吸い寄せられると、右手にはさらに植栽が鬱蒼と施されたジャングルフロアーが現れます。
天井から吊るされた生い茂る植栽、テーブルごとに生える椰子の木に絡み付けられた電飾がギラギラと瞬き、ローカルバンドがご当地ソングを演奏していてほしいステージ、階段を上がれば大勢で寛げるロフトのVIPルームまで、最高にエキゾチックな空間が広がっているではないですか。
あきらかに日本のものではないこのセンス。お客さんもほとんどソルジャー中心の様です。
16年前に赤線からほど近い別の場所に最初のお店をオープンしてから、何度か場所を変えながら、段々とお店を大きくしてやっとここまで辿り着いた。と誇らしげに話すEl’sママの笑顔に人柄が滲みます。
びっくりなのは内装だけではありません。レギュラーメニューはボリュームタップリのタコス(ビーフ/ポーク/チキンのトリプルSETが最高)、特に火曜日“Taco Tuesday”は兵隊さんで賑わい、水曜日は8種類のチキンウィング、木曜日はブラジル料理のビュッフェを驚くほど安く提供しています。
また、スーパーボウルの時などは朝6時からフリーフード(!)で大型プロジェクターを使ったリアルタイム観戦の大パーティに突入して、朝から大騒ぎになるとのこと。「ママ、サービス良すぎない!?」と聞くと「どんどんリピートしてほしいからこれがベスト」だと胸を張って答えます。
看板にはブラジル料理とあってメインメニューがタコスなのも、また赤線のタフさを感じさせる『El’s(エルズ)』。
お客さんの90%が米兵さんとのことですが、円安の今、日本人のお財布にも優しい最高のエキゾチックスポットではないでしょうか。
皆さまも機会があればジューシーなタコスと人懐っこくて働き者のママに会いに来てください。
さて、そんな素敵なEl’sのオープン準備の時間を借りて、「東京音頭」をお届けいたしましょう。
今回は、最近福生にコーヒーと古本のお店『CHA CHA CHA BOOKS』をオープンしたばかりのDJサモハンキンポー(源ちゃん)にYAHAMAの古いキーボードを弾いてもらいました。
前回に引き続き、写真家 小川尚寛、チキンシャックのノゾムさん、そして源ちゃんファミリーも、タコスを食べがてら見物に来てくれました。
東京の西の端っこで鳴らす「東京音頭」をお楽しみください。
インフォメーション
ブラジル料理 El’s(エルズ)
プロフィール
田中克海(民謡クルセイダーズ)
たなか・かつみ|1971年、岡山県生まれ。かつて戦後間もない頃、偉大なる先達――東京キューバンボーイズやノーチェクバーナが大志を抱き試みた日本民謡とラテン・リズムの融合を21世紀に再生させるバンド、民謡クルセイダーズのリーダー/ギタリスト。東京西部、米軍横田基地のある街、福生在住の田中克海と民謡歌手フレディ塚本の二人を中心に2011年に結成された民謡クルセイダーズ。失われた音楽「日本民謡」をもう一度「民の歌」として蘇らせるため、カリビアン、ラテン、アフロ、アジアなど様々なダンス・ミュージックとの融合を試み、メンバー・チェンジを繰り返しながら、2016年、現在の10人編成となる。2017年12月にファースト・アルバム『エコーズ・オブ・ジャパン』をリリース。2019年4月に同アルバムがイギリスでリリースされて以降、フジロックなどの国内人気フェスから、COTTON CLUBなどのライブハウス、1000人規模のホールコンサートなど、場所を選ばない幅広いオーディエンスに向けたライブを行い、四度に渡るヨーロッパ・ツアーをはじめコロンビア、オーストラリア〜ニュージーランド、北アメリカ、台湾など全世界 19 か国(約50箇所)での公演を成功させている。 FRENTE CUMBIERO(Bogota, Colombia)とのコラボユニット「民謡クンビエロ」や、「元ちとせ」のとのコラボを経て、2023年には2ndアルバム『日本民謡珍道中 Tour Of Japan』をUNIVERSALMUSIC JAPAN よりリリース。
以降もテレビ東京「シナぷしゅ」、NHK Eテレ「天才てれびくん」、NHK WORLD 「Japanology Plus」への楽曲提供、メディア出演など、ジャンル・国境を跨いだ活動で日本民謡の可能性を追求し続けている。
Official Website
https://www.minyocrusaders.com/
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