TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】日本に抱いていたイメージ。

執筆:西村宏堂 & フアン・パブロ・レジェス・ディアス

2024年12月12日

西村宏堂:こんにちは、POPEYEをご覧の皆様、はじめまして。私は東京のお寺に生まれました。コロンビア人の夫のフアン・パブロとともにコラムを書かせていただくことになりました。よろしくお願いします。

私は小さい頃からお姫様ごっこが大好きで、同性愛者であることで悩み、高校を卒業後アメリカの美大に留学し、卒業後はメイクアップアーティストをやっていました。今はLGBTQ+活動家としてメディアでの発信もしています。

フアン・パブロ:こんにちは、私はコロンビアの首都ボゴタ出身のクリエイティブディレクターです。幼少期は工作が大好きで、特に好きだったのが絵の具や雑誌を使ってコラージュを作ることでした。みんなに驚かれますが、小学校の夏休みには、学期中に取ったノートを綺麗に描き直すのが趣味でした。大学では国際広告学を学び、広告代理店そして出版社にてグラフィックデザイナーとして勤めていました。

私たちは2022年の夏にバルセロナのレストランで偶然出会い、交際を始めて、2023年にコロンビアで同性結婚をしました。今は二人で東京に住んでいます。(他誌ですが、馴れ初めを話したインタビュー記事もあるのでみてみてね。)

Photo by Omnia

今回は私たち二人がお互いに日本とコロンビアに対して抱いていたイメージと、実際はどうだったのか?という考察を語りたいと思います。

日本に抱いていたイメージ

宏堂:以前、日本はどんな場所だと思っていた?

フアン:未来的で発展している場所だと思っていたよ。マーベルのヒーロー映画の「ブラックパンサー」に出てくるワカンダという架空の国知っている?空を飛ぶ車が出てくるようなところなんだけど、日本もそんなハイテクな国なんだろうと思っていたよ。

宏堂:車は空を飛んではいないけど、日本のトイレはワカンダに匹敵する機能を兼ね備えているかもね。フアンが初めてトイレのビデを試した時は、トイレの中から「わーーっ」って叫び声を上げてたよね。笑

実際に日本に来てみて

フアン:実際日本に来たら、SF映画とレトロな映画が融合したような場所だと感じたよ。お香の漂う古いお寺の近くに、ロボットが食事を運んでくれるレストランがあったり。新しいものと古いものが上手に共存していると思ったよ。

そしてテクノロジーと伝統の融合は街だけでなく、人の精神性の中にもある気がしているよ。例えば日本は生活を楽にするための最新のテクノロジーをたくさん取り入れているけれど、だからと言って人々は楽をするわけではなく、我慢や忍耐といった伝統的な価値観を持ち続けている気がするな。

Photo: Juan Pablo Reyes

Photo: Juan Pablo Reyes

宏堂:それは言えてるね。楽に生活できるようになったからといって、本当に楽して生きようと思う人はあまりいないかもね。「頑張ります」っていう向上心を大事にして生きている人がたくさんいるのが日本なのかも。面白い視点だね。

次回は私がコロンビアに対して抱いていたイメージと実際はどうだったかについてお話しします、お楽しみに〜!

プロフィール

西村宏堂

にしむら・こうどう|東京都生まれ。ニューヨークのパーソンズ美術大学を卒業後、ニューヨークを拠点にメイクアップアーティストとして活動。2015年に浄土宗の僧侶となる。LGBTQ活動家として、ハーバード大学、ニューヨーク国連人口基金本部などで講演。2021年には米TIME誌の選ぶ「次世代リーダー」に選出された。 

Instagram
https://www.instagram.com/kodomakeup/


フアン・パブロ・レジェス・ディアス

コロンビア・ボゴタ市出身。コロンビアの広告代理店と出版社で経験を積み、グラフィックデザイナー、フォトグラファーとして活動する。2020年にデジタルマガジンを立ち上げ、中南米の若者向けの文化や政治や薬物乱用などの課題について啓発発信を行う。2023年より日本在住。

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https://www.instagram.com/juandthefilm/