カルチャー
〈アンダーカバー〉のショーに起用された ミステリアスなグラス・ビームスを ベルリンのロラパルーザで観たぞ。
2024年11月7日
やっぱりバンドっていいよね。
photo: WATARU (UNDERCOVER), Shinichiro Shiraishi (LOLLAPALOOZA)
text: Yukiko Yamane
2024年11月 931号初出
聴く者を引き込み、旅へと導く枠を超えた異次元の音楽体験。
2024年6月19日にパリで開催された、〈UNDERCOVER〉の2025年春夏メンズコレクション。4年半ぶりとなるランウェイショーをわくわくしながら見てると、冒頭から壁一面に覆面3人組が投影される。え、誰? どこの国の、ていうか、バンド? 宝飾がちりばめられた仮面をつけて演奏するミステリアスな姿が気になってしょうがないし、ジャンルをカテゴライズしにくい音もいい。〈UNDERCOVER〉のルックとも相性抜群で、終始目と耳が離せなかった。ショーが終わって調べてみると、音楽通でもあるデザイナーの高橋盾さんがYouTube上で発見したオーストラリアの3人組インストバンド、グラス・ビームスっていうらしい。
ミステリアスなビジュアルと東洋と西洋を掛け合わせた摩訶不思議な音楽で、今世界中の早耳ファンの間で話題になっている彼ら。バンドのDNAは、中心メンバーであるラジャン・シルヴァにあるようだ。インドで生まれ育ち、’70年代後半にメルボルンに移住してきた父親のルーツ音楽やラジャンの幼少期の思い出が大きく影響しているという。バンドカルチャーが盛んなメルボルンで、こんなにエキゾチックな音楽が生まれたことにも納得だ。インドで大規模なファン・ベースを築いてるってのも不思議ではない。カナダのDJ/プロデューサーのジェイダ・Gが人気ミックスシリーズ『DJ-Kicks』に「Taurus」を取り上げて注目を集めたらしい。
それにしても、SNSとストリーミング、ネットの口コミを通じて話題となったというのに、メンバーについてググってもラジャン・シルヴァの名前しか見つからない。この仮面に隠された匿名性も、想像を掻き立てるんだよな。音楽についてはなんだろう、この目を閉じて、流れに身を任せたくなるような心地よさ。ずっと聴いていられる。ノスタルジックで古典的なんだけど、今までにない未来的なサウンドで新しさもある。
何度も無限ループで聴いてたらどっぷりハマっちゃって、YouTubeのライブ映像も一気にコンプリート。こうなったら生で見たい! という衝動に駆られてた矢先に「ロラパルーザ・ベルリン」に出演する情報が。夏の最後の思い出作りに、いざベルリンへ!
“架空の民族”をスパイスに着やすさとか軽さを追求したコレクション「Lost Cloud」。デザイナーの高橋盾さんが「エスニック的な音と世界観に触発され、ショーに起用」したという、グラス・ビームスのライブ映像が大きな壁に投影される。音楽と強くリンクするコレクションに誰もが釘付けだった。
何度も無限ループで聴いてたらどっぷりハマっちゃって、YouTubeのライブ映像も一気にコンプリート。こうなったら生で見たい! という衝動に駆られてた矢先に「ロラパルーザ・ベルリン」に出演する情報が。夏の最後の思い出作りに、いざベルリンへ!
彼らが演奏するオルタナティブステージは、スタジアム横の芝生が広がるチルなロケーション。裏のメインステージはK-POPアイドルのセブンティーンで対極すぎるし、完全にオーディエンスを選ぶタイムテーブルだ。この日は30度超えの快晴だったけど、夕暮れで少し日が陰ってきていい時間帯。ぞろぞろと会場に人も揃ってきたところで、ついにライブが幕を開ける。歓声とともにグラス・ビームス御一行が登場したけど、もちろんまったくしゃべらない。
鼓動を感じる息遣いと発声が耳に残る「Mirage」を皮切りに、儀式的なライブパフォーマンスがスタート。徹底的に同じフレーズを繰り返してグルーブを生み出すクラウトロック的なドラムとベースに、インド音楽を彷彿とさせるシタールっぽい艶やかな音色のエフェクトをかけたギターが加わり、ファンクやサイケ、ディスコ的な要素を生み出している。裸足で踊ったり、芝生で寝転んだり、オーディエンスの自由な空気感もいいな。
ラストを締めくくるのはアシッド・ハウスのパイオニアとして知られているチャランジット・シンの「Raga Bhairav」をカバーした「One Raga to a Disco Beat」。古代のラーガとシンセサイザーを多用したディスコ・ビートの融合がたまらなくいいし、もしこの曲を知らなくたって、聴けば勝手に体が踊り出すと思う。最後まで表情はまったく見えなかったんだけど、メンバーが両手を合わせたり、胸に手を当ててお辞儀をするジェスチャーで感謝を伝えてて、謎に包まれてるけど人間っぽさが垣間見えて、なんだかあったかい気持ちになった。
サイケやファンク、ディスコ好きであれ、インド古典音楽のファンであれ、あるいはシンプルに今までにない新しい音楽を求めてるなら、グラス・ビームスは間違いなく、今体験すべきバンドだっておすすめしたいな。
アメリカの三大野外ロックフェス「ロラパルーザ」のベルリン版として、2013年から開催されている「ロラパルーザ・ベルリン」。9月7・8日の2日間にわたって、「ベルリン・オリンピアシュタディオン」と隣接する公園に各国のアーティストが集結した。
プロフィール
GLASS BEAMS
グラス・ビームス|インド系オーストラリア人のラジャン・シルヴァを中心に、2人の匿名メンバーを迎え2020年にメルボルンで結成。2021年にデビューEP『Mirage』をリリース。ミステリアスなビジュアルと東洋と西洋を掛け合わせたエキゾチックな音楽性が話題に。
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCz2BbywXgCxZcpAiXPlKT4Q
LISTEN now!
Mahal(2024/NINJA TUNE)
「ニンジャ・チューン」移籍作となった2nd EP。2023年のツアーで披露された未発表曲のライブ映像が、何百万回もの再生回数を記録。熱狂的なファンを急速に増やした同楽曲を自宅スタジオでレコーディングした作品。
関連記事
カルチャー
何でも自分たちでやる。会社まで作ったKhakiの創造力。
2024年11月7日
カルチャー
台湾インディの新星・I’mdifficultが生み出す、新体験オルタナティブポップ。
2024年10月9日
カルチャー
ファンカデリックは、時代を読むセンスを磨いていた。
20代のとき、あのバンドは何をしていたか?
2024年10月26日
カルチャー
トーキング・ヘッズは空中分解寸前だった。
20代のとき、あのバンドは何をしていたか?
2024年10月27日
カルチャー
モンゴルの若きパンクバンドを現地にて発見。
PUNK
2024年10月9日
カルチャー
香港発・Science Noodlesが誘う、メロウなローファイポップの世界。
2024年10月9日
ピックアップ
PROMOTION
Field of Paintings
Timberland
2026年10月9日
PROMOTION
介護の現場はこんなに変わってきた。/介護職・安富ひかりさん
介護の仕事って、今こんなにあたらしいんだ。
2026年10月23日
PROMOTION
アートもローカルから。それがPARCO流。
PARCO ART & CULTURE DAYS
2026年10月6日
PROMOTION
リッチモンドで出合った、Compass Boxというウイスキーについて話をしよう。
Compass Box
2026年10月8日
PROMOTION
芝生でのんびりもいい、デザインの祭典。
TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026
2026年10月9日
PROMOTION
WilsonとUS OPENが彩るニューヨークの晩夏。
Wilsonとテニスの深い関係を巡った夏の終わりの記録。
2026年10月9日
PROMOTION
〈SOREL〉のアンブラーと、メンテナンスデイ。
SOREL
2026年10月9日
PROMOTION
介護の現場はこんなに変わってきた。/介護職・中村一真さん
介護の仕事って、今こんなにあたらしいんだ。
2026年10月16日
PROMOTION
新しい〈コロンビア〉と、長い散歩。
Columbia
2026年10月9日
PROMOTION
Fall In Field Coats And…
L.L.Bean
2026年10月9日
PROMOTION
トミーさんが“ザ・プラザ”に帰ってきた!
ニューヨーク・ファッションウィークで、〈トミー ヒルフィガー〉が 2027 Springコレクション「PLAZA PREP」を発表。
2026年10月9日
PROMOTION
〈トミー ヒルフィガー〉に稲妻が走る!?
藤原ヒロシさんを直撃! トミー ヒルフィガーとFRGMTのコラボレーションはいかにして生まれたか。
2026年10月14日
PROMOTION
AIとともに考え、切り拓いていくこと。
Machines of Loving Grace
2026年10月15日
PROMOTION
〈トミー ヒルフィガー〉と「FRGMT」、ふたつのカルチャーが必然の邂逅!
プレッピーのフレッシュな進化を象徴する、「FRGMT」とのコラボレーション。
2026年10月15日
PROMOTION
トミーさん、「PLAZA PREP」は最高です!
トミー・ヒルフィガーさんに、2027 Springコレクションとプレッピーについて9つの質問。
2026年10月9日
PROMOTION
ぼくが〈 UGG 〉を履くとき。/#1 パン・コーリー
UGG
2026年10月9日
PROMOTION
介護の現場はこんなに変わってきた。/介護福祉士・伊井香奈子さん
介護の仕事って、今こんなにあたらしいんだ。
2026年10月9日