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珍チャリあり、ファミコンありの自転車店『クラウンサイクル』にお邪魔。

東京五十音散策 桜新町③

2024年10月1日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Eri Machida
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどをぶらりと周っていく連載企画「東京五十音散策」。「さ」は桜新町へ。

 国道246号沿いに位置する『クラウンサイクル』に入ってみると、漫画、ラジコン、ファミコンなどが並び、まるで友だちの家に来たよう。店主の伊藤寿彦さんが「おもちゃ屋だと思っている子どももいるんです」と言っている通り、街の自転車屋とは一括りにできない場所だった。

 2013年に開業したここでは、クロスバイク、ロードバイク、シティサイクル、電動アシスト自転車、キッズバイクなど、ジャンルを問わずいろいろな自転車が見られる。最新のインポートもののスポーツ自転車もママチャリもどちらも揃えているのは個人店では意外と珍しく、マニアもそうでない人も対等に親身に対応してくれる心強い存在だ。

 何より他店と大きく異なるのは、やはり店主の趣味が全開の店内だろう。〈パナソニック〉から発売された乗るのが難しすぎる「ロデオ」や、プラモデルのように組み立てて楽しむ〈ツノダ〉の「ロビン」、〈ブリヂストン〉の1981年折りたたみ式「ピクニカ」など、’80〜’90年代の面白い自転車コレクションは見もの。販売はしていないが試乗できるので気になる人はぜひ試乗させてもらってほしい。修理中にファミコンで遊べたり、漫画を読めたり、アットホームな空気が流れていて、自転車についてはもちろん、それ以外のことまで相談したくなるような居心地の良さが癖になる。

 購入後は、空気入れ、洗車など日々のアフターケアも当然ばっちり。街の自転車屋と気兼ねなく訪れてみたが、友達の家に遊びに誘うように、自転車が欲しいすべての人に勧めたくなる店だった。

購入後も手厚くメンテナンスしてくれるから安心。カスタムや修理、オーバーホール(分解洗浄)だけでなく、スポーツ自転車向けの講習会、貸出自転車のサービスも。

パーツ類も種類豊富に取り揃える。

〈パナソニック〉が1998年に発売した「ロデオ」。キャッチコピーが「乗れるもんなら乗ってみろ!」で、わざと乗りにくく設計している。初級から上級まで3種類あり、赤は中級。

自転車漫画の名作『並木橋通りアオバ自転車店』にも登場した〈ツノダ〉の「ロビン」。ダンボール箱に入って売られており、プラモデルのように自分で説明書を読みながら組み立てる超小型自転車。

日本で折りたたみ自転車が広く普及したきっかけになった〈ブリヂストン〉の「ピクニカ」。

自転車の修理中にファミコンで遊ぶこともできて退屈する暇なし!

アメリカ自転車連盟(League of American Wheelmen)のワッペンはアメリカに住む伊藤さんの妹からのプレゼント。

インフォメーション

珍チャリあり、ファミコンありの自転車店『クラウンサイクル』にお邪魔。

CROWN CYCLE

王冠を模したデザインで地域の方から「丘の上のクラウン」と呼ばれる、駒沢給水所の給水塔が店名の由来。中学生の頃からマウンテンバイクでキャンプやボーイスカウトに出かけ、現在も釣りやラジコンをするため自転車で長距離を走る伊藤さん。自分自身がそうだからこそ、趣味のプラスアルファにぴったりな一台も的確に提案してくれる。譲り受けた古い自転車や大きな写真も店内に飾られており、近隣の方から愛されている様子が伝わってきた。

○東京都世田谷区駒沢4-29-11 ☎︎03・6453・4101 9:00〜20:00 月休

Official Website
https://crowncycle.jp/