TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#4】誰でも数学でワクワクできる機会を届ける/三角定規の角度の数学クイズ

執筆:横山明日希

2024年10月2日

9月の連載として続けてきた数学クイズも今回で最終回となります。

コイン、積み木などを使ってクイズを出してきましたが、最後は算数・数学で全員がよく使っていたあのアイテムを使ってクイズを出してみます。

もし実物が家に置いてある…という人は実際に確かめてみても面白いかもしれません。

ということで、今回はこちらを活用します。

そう、三角定規です。

クイズに入る前に三角定規についておさらいしておきましょう。形は2種類あり、1つ目の三角定規の3つの角度は90度、45度、45度。もう片方は90度、60度、30度。
なぜ三角定規がこの形をしていて2種類セットになっているか色々と理由は考えることはできるかもしれませんが、1つあるのは代表的な角度を分度器いらずで調べることができる、という利点が考えられます。
つまり、30度、45度、60度、90度の4種類であればすぐに測ることができるということです。

さて、ここでクイズに入ります。
果たして、三角定規で測ることができる角度はこの4種類だけなのでしょうか。
他の角度、例えば120度を測る方法はあるのでしょうか。どう作れば測ることができるでしょうか。

実は、2つを組み合わせることで、120度の角度を作れます。

答えを見ればたしかにそうだ、となりますね。90度の角度と30度の角度をくっつければよいわけです。
そう考えると、下の写真のように45度と30度を組み合わせれば75度を作れます。

そう考えると45度と60度を合わせて105度が作れて、90度と45度で135度が作れて、90度と60度で150度も作れる、ということが見えてきます。

まとめると、30度、45度、60度、75度、90度、105度、120度、135度、150度
という角度が作れることがわかりました。

では、ここで問題。

2つの三角定規を使って165度を作ることはできるでしょうか?

なぜ165度?と思った方、先ほどの一覧を見ると差が15度ごとの角度となっているのです。ここまで来たら、なんとかして165度も作りたい、となるのが数学好きの性分なのです。

今までの作り方とは異なる発想が必要です。ちなみに発想の1つとして、3つの三角定規を使うというのもあります。165=45+60+60などと考えて、3つの角を合わせて作ることもできますが、ちゃんと2個の三角定規だけで165度も作れます。

さて、そろそろ答えです。
写真を見ても最初どこに165度があるかわからないかもしれませんが、よく見てみつけてみてください。

わかりましたか?重ねればよいのです。

実は、重なって真ん中あたりに「X」のように交わっている場所、ここに165度の角度があります。ちなみにその場所には先ほどの一覧になかった15度の角度もありますので、これで15度刻みの180度までのすべての角度を三角定規2つで作れることがわかります。

ちなみにこの方法、あまり知られている方法ではなく、僕自身も大人になって自分で発見しました。そのときの感動は今でも忘れられません。

4回に渡ってお送りしてきた数学クイズ、いかがでしたか。
身近な題材がクイズとして使えるということも伝わったのなら幸いです。ふとした日常の疑問を解くような気持ちで数学とぜひ向き合う機会を作ってくれたら幸いです。

プロフィール

横山明日希

よこやま・あすき|株式会社math channel代表。老若男女問わず幅広く数学・算数の楽しさを伝える「数学のお兄さん」として活動。公益財団法人日本数学検定協会認定幼児さんすうシニアインストラクター。2024年6月よりNHK Eテレ「3か月でマスターする数学」に出演中。

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