カルチャー

写真と映像の美術館4Fにある『東京都写真美術館図書室』。

東京五十音散策 恵比寿③

2024年5月31日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Eri Machida
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどを
ぶらりと周っていく連載企画「東京五十音散策」。「え」は恵比寿。

 研究者や写真家、映画監督など、海外からも人が集まる図書室が恵比寿にある。ここ『東京都写真美術館図書室』は、写真と映像専門の美術館『東京都写真美術館』の4階にある図書室で、国内外の写真集や展覧会図録、写真や美術の専門誌、展覧会のチラシやハガキ等のエフェメラを収集している。

 書庫にあるものを含めると、書籍が5.7万冊、雑誌が6.7万冊で、合わせて12.4万冊所蔵しており、古いものでは19世紀の本も。ページ割りから装丁、紙質などに至るまで、作家が熟考した末に生み出されたものだから、と作品同様にきちんと保管されており、他の美術館に展示資料として貸し出すこともある。

 魅力的な資料は山ほどあるけれど、ほとんどが書庫に保管されているため、より楽しむために館内の検索機を使ったり、司書に尋ねてみてほしい。たくさんの図書館を渡り歩かなくても一箇所で効率よくリサーチでき、例えば、ある写真家について調べたいときは、過去に出版した写真集だけではなく、写真家の記事が掲載された雑誌や国内外で開催された展覧会のカタログ、評論の本、写真史の本と、多様な資料がすぐに集まるのが強み。

 館外に貸し出しをしていないから、その場でじっくり読み込むという行為に自ずとさせられるのもこのスペースの良さ。都会の喧噪から離れ、大切に保管されている資料に没頭する時間を作ってみるのも恵比寿の過ごし方の一つなのかもしれない。

開催中の展示に関する本を集めたコーナー。

開催中の展覧会に関連する本を集めたコーナー。(※現在の展示に合わせて内容は変更されています。)展覧会の企画が発表された時点から、このスペースを意識し、収集し始める。

国内の雑誌が置いてある棚はフリップ式で、開けるとバックナンバーが1年分保管されている。

海外の写真や映像に関連する雑誌も収集。

1995年に開館してから現在まで、美術館で開催されたすべての展覧会のフライヤーが見られる。

展覧会に合わせて、出品作家のエフェメラも展示。

展示室の入り口などで入手できる関連図書リスト。

インフォメーション

写真と映像の美術館4Fにある『東京都写真美術館図書室』。

東京都写真美術館図書室

『東京都写真美術館』は、日本で初めての写真と映像に関する総合的な美術館として1995年に開館し、図書室も開館当初からある。利用の際に登録は必要なく、展覧会のチケットも不要で、誰でも入室可能。貸し出しはできず、図書室内のみでの閲覧だが、調査研究の際に必要であればコピーすることもできる。

○東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内 10:00〜18:00 月休(月曜が祝日の場合は開館し、翌平日休館)閉架資料の請求・コピーサービスは10:00〜17:30

Official Website
https://topmuseum.jp/