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〈ティンバーランド〉スリーアイの魅力を長谷川昭雄さんに尋ねた。

Timberland

2024年4月24日

photo: Seishi Shirakawa
direction, styling & text: Akio Hasegawa
grooming: Kenichi Yaguchi
text (dialogue): Neo Iida
edit: Shigeru Nakagawa

ウォッシャブルメリノウールのロングスリーブTシャツ¥27,500、中に着たウォッシャブルメリノウールのショートスリーブTシャツ¥22,000(ともにSNBYA.H/スレッズ☎050·5482·3778) デッドストックの〈ポロ ラルフ ローレン〉の2タックチノパンツ¥11,000(オキドキ☎03·6407·8525) モカシン「スリーアイ クラシックラグ」¥23,100(ティンバーランド/VF ジャパン☎0120·953·844) ソックス(3パック)¥2,640(カウラム/デイトナ・インターナショナル☎03·5770·8798)

長谷川昭雄(以下 長谷川) 〈C.E〉のトビーさんも言ってたんだけど、〝イタリアで流行った〈ティンバーランド〉〟っていうのがあって。もともとイエローブーツの人気に火がついたのも、アメリカでも日本でもなくてイタリアが先だったらしいんだよね。なんだっけ、パニナリ?

――ああ、’80 年代のミラノで急増した、アメカジに身を包んだ若者たちのことですね。パニーニ屋に集まっていたから、パニナリ。

長谷川 そうそう。パニナリのあのストレートな感じはなかなか真似しづらいけど、よく見るとプレッピーなんだね。ヨットカルチャーのプレッピースタイルのスポーティな部分を、イタリア的なアクの強い感じにして、タイトフィットにするとああなるっていうか。要するにタイトシルエットの〈ポロスポーツ〉みたいな。

――なるほど。今だと、ヒップホップ的な解釈で履く人も多いですよね。

長谷川 ラッパーにも愛されてるよね。元は林業の人の靴なんだけど。あと、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズが若い頃、白いソックスでイエローブーツを履いてたんだけど、あの感じもすごくかっこよかった。

――山男からロッカー、ラッパーまで、愛されるブーツなんですね。それでいうと、このスリーアイも、パニナリ的なイメージでもあったりするんですか?

長谷川 いや、というわけでもないんだけど。アメカジがあるうえで、アメカジだけじゃない感じも混ざってると面白いんじゃないかなと。

ウールのダブルブレステッドネイビーブレザー¥49,500、ソックス(3パック)¥2,640(ともにカウラム) 8オンスのスウェットフーディー¥11,000(AVR/スタックスブックストア) モカシン「スリーアイ クラシックラグ」¥23,100(ティンバーランド/VF ジャパン) ペインターパンツは私物

――なるほど。ここではブラウンとホワイトが登場してますね。

長谷川 うん。ブラウンに近い色でバーガンディもあって、僕は本当はそっちのほうが好きなんだけど、でもここではブラウンを使っていて。なんでそうしたかっていうとブラウンのほうがヒールが高かったの。たまたま店に行ったときにブラウンとバーガンディが横並びになっていて、高さが違う? と思ってくっつけてみたら、同じサイズなのに5〜10㎜くらい違って。何これ! と思ってお店の人に聞いたら、「いや、わかんないです」って。どうやら工場によって違っちゃうみたいなんだよね。必ずしもブラウンがそうってことじゃなくて。

――微差が生じる?

長谷川 そうみたい。僕のなかでは昔のスリーアイってボリュームがあってさ。実際、RIKACOのスタイルブックではまぁまぁヒールがあるように見えたんだよ。

――RIKACOのスタイルブック?

長谷川 うん。そこに出てくるスリーアイは明らかにヒールが高くて。そういえば高校の頃に友達が履いてたのも、ずいぶんヒールが高かった印象があって。だからこれくらいのボリュームが欲しかったんだよね。

――ボリュームがあるほうが服とのバランスが良かったりするんですか?

長谷川 まあそうだね。これよりさらにボリュームが出るとやりすぎかなとは思う。靴は、合わせやすくて、永遠に履ける伝統的なデザインのほうがいい。服のことばかり考えなくて済むから。そういう意味でもスリーアイはギリギリの高さのヒールでいいなと。

――大人っぽくて上品で、それでいて手に入れやすいお値段なのもいいですね。

長谷川 そうだね。ティンバーランドは安いけど、ちゃんと品格がある。それでいて少し粗野な感じもして、男の人が普段履くのにちょうどいい。靴紐も、こんなふうに蝶々結びをしたまま脱げちゃうし。(と履いていたスリーアイを脱ぐ)

――ほんとだ。

長谷川 クッションがあるから多少の緩みも調整できるし、センターとサイドの紐が連動してて、締め上げていけばどんどん締まっていく。モカシンって履き口が広がる構造になってるからこそ履きやすいんだけど、締め上げてフィット感を補っていけるのが、スリーアイのいいところ。

――そういえば生産国がベトナムからドミニカに戻るそうですね。

長谷川 らしいね。でもどうやらこれはポルトガルなんだよ。色々あるみたい。

――なるほど。ドミニカは縫製が丁寧らしいので、今後が気になります。

長谷川 そうだね。


スリーアイ クラシックラグ
モカシン縫いを施したボートシューズのアッパーにラグソールと呼ばれるアウトドアソールを組み合わせたモカシンシューズ。甲の部分にU字型のレザーパーツをかぶせ、職人が手縫いで仕上げるクロスステッチのハンドソーン製法は、機械縫いの靴に比べて3倍の耐久性を誇るという。スリーアイの定番カラーといえば、バーガンディとブラウン。系統の近い色でわざわざカラバリを作るのは、アメリカ東海岸のメーカーだけにプレッピーの影響だろうか。

そんなスリーアイに春の新色として、柔らかい表革を使用した、オフホワイトが登場。綺麗なままを望まず、このパンツのようにガンガン汚すつもりで履こう。多少のシミや泥、シワ、傷は気にしないほうが、白はカッコよく見えるものだ。新品よりも、履き込んでいったとき、この靴は真価を発揮するのだ。

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