カルチャー

11月はこんな本を読もうかな。

読書の秋にうってつけな3冊。

2023年11月1日

text: Keisuke Kagiwada

『スーザン・ソンタグ 「脆さ」にあらがう思想』
波戸岡景太(著)

20世紀末のアメリカを代表する知識人、スーザン・ソンタグの入門書。しかし、本書は彼女のわかりやすいイメージを描き出すことは避ける。ときに矛盾すら孕みながら、同時にいくつもの顔を持っていた彼女を、そっくりそのまま描こうとするその姿勢は、ソンタグが提唱した「反解釈」の実践なのかもしれない。¥1,210/集英社

『闇の精神史』
木澤佐登志(著)

なぜ人は宇宙を目指すのか。ロシアの宇宙主義、アフロフューチャリズム、サイバースペースなどを取り上げながら、本書はその思考を深める。とりわけ、土星人を自称したジャズミュージシャンのサン・ラーが、白人によって奪われたルーツを宇宙と仮構することで、白人による黒人の歴史のオミットに抵抗していたという話には感動した。¥1,122/早川書房

『訂正する力』
東浩紀(著)

今の日本に必要なのは「訂正する力」だと著者は語る。「じつは……だった」の発見を積み重ね、「現在の新たな定義によって、過去の定義を組み替え、新たな一貫性を作り上げる」そんな力こそが重要であると。この力は、何が正しいのかわからない今という時代を、サバイブするためにも役立ちそうだ。¥935/朝日新聞出版